JRグループのダイヤ改正や車両老朽化で定期運行が廃止される寝台特急「北斗星」の最終便が13日、雪が降りしきる夕刻、札幌駅を出発した。最後の姿を目に焼き付けようと札幌駅のホームには約1000人が集まり、最後のブルートレインを見送った。最後尾の車両がホームを離れても多くのファンが赤いテールランプが見えなくなるまでその場から離れなかった。(北斗星最終便は雪が降りしきる中、札幌駅を出発した=写真)
札幌と上野間約1200㎞を約16時間で繋ぐ「北斗星」は、青函トンネルが開通した1988年の3月13日に運行が始まった。それから27年間、北の大地と東京を結ぶ定期ブルートレインとして軌跡を積んできた。利用客の減少などによって大阪―青森間の「日本海」や上野―青森間の「あけぼの」など次々とブルートレインが消えていく中で「北斗星」もその流れに逆らえなかった。
札幌発の最終列車は、出発の10分前に5番ホームにDD51ディーゼル機関車の重連に牽引されて現れた。定刻より2分遅れの17時14分、汽笛を鳴らして札幌駅をゆっくりと出発。ホームに入線したころは雪が舞っていなかったが、出発のころには視界も遮られるほどの雪景色に。11両編成の最後尾がゆっくりと通り過ぎるまで1分強。ホームに集まったファンたちは口々に「ありがとう」、「さようなら」と声を掛けた。
見送りに来ていた札幌在住の30代の女性は、「東京の大学時代に帰省でよく利用していました。札幌から乗って青函トンネルを抜け当時停車していた青森駅や仙台駅で下車する人が多く、そこから上野駅までは4人部屋を一人で使うことができ車窓の景色をゆっくり眺められました。東京と北海道が一つの線で結ばれ故郷との繋がりを実感させてくれるのが『北斗星』でした」と最終運行を寂しがっていた。
札幌発の最終便はきょう14日午前9時38分に上野駅に到着する。北斗星は今後は時刻や運転日を変更、臨時列車として8月まで運行される。
12日の「トワイライトエクスプレス」、そして13日の「北斗星」と相次ぐ寝台特急の廃止に多くの人たちが自らの境遇と重ねあわせてある種の感慨を感じたことだろう。これほど多くの人の感情を揺さぶる公共交通機関を担っている誇りと使命を安全面で不祥事が続いたJR北海道は再認識したに違いない。両列車ともJR西日本やJR東日本が運行主体だが、JR北海道は本州と北海道を結ぶ寝台特急が幕を閉じたことを新たな出発店として、来年3月の北海道新幹線新函館北斗開業に向け鉄道の魅力、北海道の魅力を発信してもらいたい。
(上野を目指す最終の北斗星)