北洋銀行は11日、公的資金返済に必要な優先株取得枠を決める臨時株主総会をホテル札幌ガーデンパレスで開催した。当日出席株主と書面やインターネットで議決権行使した株主を含め3214人が出席。石井純二頭取が議長になって議事を進行、質問者は賛成の意見を述べた1人だけで、その後決議に移り賛成の拍手が大勢を占めたため議案は了承された。(写真左は会場となったホテル札幌ガーデンパレス、写真右は議案を説明する石井頭取のモニター画面)
北洋銀行は、リーマンショックによって多額の有価証券損失を計上、赤字が確実になったため2009年3月に整理回収機構を割当先に優先株を発行、1000億円の公的資金注入を受けた。
注入から4年後の昨年3月期で利益剰余金が805億円となり、昨年6月の定時株主総会で優先株の一部取得枠を決議して同7月に300億円を部分返済していた。
今年に入って、「アベノミクス」効果で保有する有価証券が上昇、昨年10~12月に順次売却して売却益701億円を確保、同年末時点で利益剰余金は1654億円に達し、公的資金完済を株主に諮ることを決めた。完済後も自己資本比率は10%以上を維持できるという。
今回の臨時株主総会は、簿価ベースで残り700億円分の優先株取得枠を決議するためのもの。冒頭、議長の石井頭取が東日本大震災から3年目の日であることから一日も早い復興を祈念すると述べた。
その後、6月の定時株主総会を待たずに臨時株主総会を開催したことについて「公的資の完済を一日も早く行うことが企業価値向上につながり株主にプラス効果がある」と説明。
残りの優先株1億4000万株を整理回収機構から875億円を上限に1年以内に取得する議案を説明、賛成の拍手が多数を占めて議案は決議された。総会所要時間は20分。
北洋銀行は6月の定時株主総会を待たず、今回3ヵ月前に臨時株主総会を開催、公的資金返済を正式決定したため年度内の完済が見込まれる。公的資金注入から5年目で経営の自主権を取り戻すことになる。