北海道信用金庫協会・原田直彦新会長インタビュー、「20金庫の相乗効果を発揮して信用金庫の存在感高める」

金融

 一般社団法人北海道信用金庫協会(事務局・札幌市中央区、略称・北信協)の新会長に、旭川信用金庫(本店・旭川市)の原田直彦会長(65)が就任した。旭川信金の理事長、会長が北信協会長に就任するケースは多く、原田氏は2012年6月から2016年4月まで2期4年務めた杉山信次氏(当時理事長・会長)に次ぐ就任となる。広域分散型の北海道にとって、信用金庫は、地域経済の要の役割を果たしている。地域の隅々までカバーする金融インフラとして、なくてはならない存在だ。北信協の新会長として、道内の信用金庫業界をどう舵取りするのか、就任の抱負と任期中に取り組む具体策について聞いた。〈はらだ・なおひこ〉1959年1月生まれ、当麻町出身、65歳。旭川東高、立教大学法学部卒。1981年4月旭川信用金庫入庫。2006年理事、2013年6月理事長、2023年6月会長。2024年6月一般社団法人北海道信用金庫協会会長就任。

 ーー最初に旭川市出身で、パリオリンピック女子やり投げで金メダルを獲得した北口榛花選手について聞かせてください。旭川東高校の同窓でもありますね。

 原田 旭川出身の五輪金メダリストは、柔道の上野雅恵さんなど5人いるそうです。この人口規模の自治体では、日本で一番多いと聞いています。今回の北口選手ですが、陸上の投てき種目での金メダルはまさに快挙。北口さんの笑顔がいいですね。才能だけでやってきたのではなく、努力で自分の道を開いてきた人で、そこに皆さんすごく感動するのだと思います。旭川だけではなく、日本中の誇りです。旭川東高校には、自由な校風があります。そこで、「やり投げをやってみないとか」と提案した先生がいたというのも、画期的だったと思います。

 ーー2024年6月に、北海道信用金庫協会会長に就任されました。抱負を聞かせてください。

 原田 まずは、信用金庫の存在感をアップさせることです。前任会長は、2023年9月に「信用金庫と共に地域を語る集い」を初めて開催しました。今年も11月に開催する予定ですが、前回の産官学に加えて、学生など若い人たちにも、信用金庫がどういう仕事をしているのかを感じてもらえるような内容にしたいと考えています。

 もう一つ、取り組みたいのは人材育成、人材開発など人材に関わることです。私たち信用金庫の使命は、お客さまへのコンサルティングを徹底して、お客さまの課題を共に解決していくこと。数字(収益)を上げるだけではなく、お客さまのために何ができるかということをしっかりと“腹落ち”した状態で、仕事に取り組んでほしいと常々考えています。そのことを、信金職員の方たちにも、もっと浸透させていきたい。

 仕事の何にやりがいを持つのか、何を使命にして、何を目標に頑張るのか、ということをきっちりと協会として、職員の方々に発信したい。どちらかというと、若い人たちは褒められたいという気持ちが強い。それは誰しも同じではありますが、私たちの世代は、上司に文句を言われても、お客さまが評価してくれる、お客さまが育ててくれると言われて過ごしてきました。お客さまがその職員を評価するのは、数字を上げたからではなく、お客さまのために何をしたのか、何を頑張ろうとしたのか、実際に何を頑張ったのかが伝わった時です。そうした評価を受けることの積み重ねによって、職員は、成長していくのだと思います。

 金融機関は、ノルマをなくしてプロセスで評価するなど、さまざまな方法で金融マンを育てようと試行錯誤しています。協会も、力を入れてやっていきたい。そのことを、“集い”のような催しを通じて、学生たちに「信用金庫はこんなことをやっているんだ、こんな思いでやっているんだ」と感じてもらいたい。一金庫のPRではなく、各金庫の人材育成、人材評価などについて、紹介できるような催しにしたい。

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