北洋銀行は29日、道内の7信用組合理事長らを対象にした「道内信用組合トップセミナー」を札幌市内のホテルで開催した。北洋銀が協同組織の地域金融機関である信用組合向けのセミナーを開催するのは初めて。道内23信用金庫を対象にしたセミナーは5年前から開催しており、業態の垣根を超えた越えた連携が実を結びつつある。信用組合とも連携を密にして、オール北海道の経済活性化に向けて基盤を作りたい考え。(写真は、信組トップセミナーで挨拶する石井純二頭取=左と講演する山谷吉宏道経済部長)
 
 道内の金融界は伝統的に拓銀と信金、道銀と信組という色分けがあった。拓銀破綻で北洋銀が事業継承した際に信金との関係を継承しなかったため、北洋と信金との関係は一時期悪化。道銀はその間に地域金融セミナーと題して信金との関係強化に乗り出すなど、北洋銀は地域金融の担い手である信金・信組との距離を縮める課題を背負っていた。
 
 5年前から信金トップセミナーを開催、関係改善に乗りだしたが、信組業界からも同様のセミナー開催を求める声もあって今回、初の信組トップを対象にしたセミナー開催した。

 北洋銀の石井純二頭取は、「道内経済活性化には、産官学に金融を加えた『産学官金』の連携をもっと強くして、具体的な実を挙げていくことが求められる。金についてこれまでは銀行や信金、信組などの業態ごとの縦割りの連携から(業態の垣根を越えた)オール北海道の連携が必要。金融界が一体となって横串を入れ、さらに強化していくことが責務」と挨拶した。
 
 セミナーでは、北洋銀の塚見孝成執行役員地域産業支援部長と道の山谷吉宏経済部長がそれぞれ講演。
 
 塚見氏は、地域産業支援部に今年1月に設置したフードビジネス推進室やものづくり・新事業推進室、観光振興室の具体的な取り組みを紹介。「新幹線函館開業に向けて道の渡島総合振興局と連携して道南地域活性化に向けたプラットホーム作りをしている。また、江別市とも連携して『食の江別』を売り込むため9月のインフォメーションバザール(北洋銀主催により東京で開催)には江別の12社が出展する。信組も是非こうした商談展示会に参画して欲しい」と語った。
 
 山谷氏は、地域経済活性化に向けた道の取り組みについて講演。「北海道は地域に応じた分散型エネルギーの導入が求められている。地方の首長は団結よりも太陽光や風力、バイオマスなど地域特性に応じたエネルギーの地産池消に目を向けて欲しい」と訴えた。
 
 また、ものづくり産業集積について、「道内には自動車産業に不可欠なアルミ関連産業の集積がある。域内でサプライチェーンが構築されれば、ものづくり産業の強みなる」と期待感を示した。そのほかにも苫小牧東部地区から仙台方面への貨物輸送に22時間要する問題を半減できないかJRに要請していることや中国北京政府に中国東北三省の開発について道として協力できないか申し入れしていることを紹介した。
 
 セミナーには、北央、札幌中央、函館商工、空知商工、十勝、釧路の6信組理事長、ウリの副理事長らトップのほか合計27人が参加した。



この記事は参考になりましたか?