北洋銀行は北海道大学との包括連携事業の一環として昨年度に引き続き「市民医療セミナー」を全8回開催するが、1回目のセミナーが17日北洋大通センター4階のセミナーホールで行われた。北大大学院医学研究科がん予防内科学講座特任教授の浅香正博氏が「臨床検査値の見方、考え方」をテーマに約1時間講演、会場は市民ら100人が詰めかけ耳を傾けた。(写真は、挨拶する柴田龍副頭取=左と講演する浅香正博教授)
冒頭、柴田龍副頭取が、「このセミナーは市民の目線で講師の方々から分かりやすくお話しいただける貴重な機会」と挨拶、病気の理解と予防の大切さをセミナーを通じて気軽に学べる場として今後の参加も呼びかけた。
1回目のテーマは「臨床検査値の見方、考え方」。浅香教授は、初期診療の手順の中で、尿や血液の臨床検査から得られる検査値は病気の診断に重要であるとして、簡単な読み方や考え方を解説。
尿の検査で糖やたんぱくが出た場合の病気の可能性や血液検査で分かる赤血球、白血球、血小板の数値から病気の疑いについて述べた。
また、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるが、食物の栄養分の代謝、合成、貯蔵を担う工場と解毒の働きがあると紹介。肝臓は7~8割のダメージを受けてから初めて黄疸などの症状が出るが、血液検査は肝細胞障害のマーカー機能があるとして、ポピュラーになったGOTやGDP、γ―GTPの数値の読み方について語った。
そのほか、尿素窒素BUNやクレアチニンから腎機能を血中脂質、善玉と悪玉のコレステロール、ヘモグロビンA1cなど糖尿病に関わる数値の見方についても分かりやすく紹介した。
浅香教授は、献血の際に行う検査でも血液一般や肝臓、糖尿病の疑いを調べられるとして「定期的に献血すると人間ドックで血液検査をするのと同じくらいの効果がある。検査値の経過から病気の有無を診断するためにも、掛かりつけのドクターがいれば良い」と述べた。
講演終了後には、会場から質問が相次ぎ、「胃がんで胃を全摘したが、ヘモグロビンが下がって貧血気味、どうしたらいいか」という質問に対して、「貧血にもパターンがあるので低色素性なのか、高色素性なのか、貧血のパターンを掛かっている医師に聞いてみるのが良いのでは」と浅香教授は丁寧に答えていた。
次回以降のテーマと講師、日程は次の通り。
5月29日(火)
「糖尿病の診断と治療に関する最近のトピックス」(NTT東日本札幌病院内科診療部長、糖尿病内分泌内科部長吉岡成人氏)
6月19日(火)
「不整脈とは何か」(北光記念病院院長櫻井正之氏)
7月10日(火)
「食中毒の現状と予防」(北大病院感染制御部准教授、診療教授石黒信久氏)
10月16日(火)
「胃がんで亡くならないために」(浅香氏)
11月27日(火)
「認知症の診断と対応」(北海道医療大学心理科学部臨床心理学科教授中野倫仁氏)
12月11日(火)
「救急医療は大丈夫?」(市立札幌病院救急救命センター部長牧瀬博氏)
2013年1月15日(火)
「タバコとアルコールとのつきあい方」(浅香氏)
いずれも定員120人で入場料無料。問い合わせは、北洋銀行法人部(電話011―261―2579)