北洋銀行の新頭取に石井純二副頭取(60)が4月1日付で就任する。石井氏は旧北海道拓殖銀行出身で2年前から副頭取に就いていた。北洋銀の頭取は横内龍三現頭取(67)まで4代続けて日本銀行出身者だったが、41年ぶりに非日銀出身者がトップを務める。石井氏は芦別市出身で弘前大卒。旧北洋、旧拓銀、旧札銀を含めて弘前大出身者が頭取に就任するのも初めて。横内頭取は会長に、高向巖会長(73)は相談役に就く。(写真は、北洋銀行本店が入る北洋大通センター)
北洋銀行は旧北洋、旧拓、旧札銀それに旧拓を吸収して以降の入行組と4つの出自を持つ行員で成り立っている。武井(正直)、高向、横内の日銀出身3頭取がパワーバランスを保つ形で采配を振るい行内融和を進めてきたことで旧行意識は殆どなくなっている。
2年前に石井氏と旧北洋の柴田龍氏(54)が副頭取に就き、昨年には両氏が代表権を持ったことから次期頭取はこの2人のどちらかということで衆目は一致していた。
横内頭取は、最終的に長幼の序を重んじ石井氏を抜擢したものと思われる。
新頭取になる石井氏には①公的資金の返済②攻めの経営③信金との関係④人事配置という4つの課題がある。
公的資金については毎期順調に150~200億円程度の返済原資がつみあがっていることから、創業100周年を迎える2017年までには全額返済することは可能で、石井氏は前倒し返済を模索していくことになる。
攻めの経営は、食、観光、医療、環境といった成長分野への融資拡大と起業支援でこれまで以上に踏み込んだコンサルティング機能の拡充が必要になってくる。
また、信金との関係では、公的資金注入の条件であった中小企業向け融資拡大と日銀の成長産業向け融資枠導入による融資攻勢で緊張感が高まっており、道内トップバンクとして信金との協調路線をどう構築していくかも問われる。
人事配置に関しては、旧行意識が殆どなくなったとは言え、役員・幹部人事によってはパワーバランスが崩れる可能性もあり登用とともに転出先も見据えた配慮が今まで以上に欠かせなくなってくるだろう。石井氏の頭取就任後に柴田氏以外に副頭取を登用するのかどうかも注目される。
横内頭取は会長、高向会長は相談役にそれぞれ就くことになるが、今後は経済界人事に波及してきそうだ。
高向氏は札幌商工会議所会頭を務めているが来年11月まで任期がある。横内氏は現在、北海道経済連合会と北海道経営者協会の副会長で札商との関係は薄い。一説には、札商会頭に北海道銀行の堰八義博頭取が就き、横内氏は北海道経営者協会会長になるのではという見方もある。
なお、石井氏は日本清酒の社外取締役のほか北海道電力社外監査役を務めている。