北洋銀行が6月23日付けで行う役員人事は、ポスト横内龍三頭取(66)を睨んだ布石になりそうだ。高向巖会長(72)が代表権を返上し、石井純二(59)、柴田龍(54)両副頭取がともに代表権を持つことになり次期頭取は事実上2人に絞られることになるからだ。4代続いた日銀出身頭取の目は遠のいたようだ。(写真は、北洋銀行本部がある北洋大通センター)
 
 北洋銀は、現在の横内頭取までに大塚―武井―高向と日銀出身者がトップのポストを受け継いできた。日銀出身頭取のもとで副頭取は日銀出身者とプロパーの2人体制を敷くケースが多かった。
 
 武井頭取時代の高向氏―高橋隆司氏、高向頭取時代の横内氏―中井千尋氏のように、次期頭取を担う日銀出身者とプロパーが日銀出身頭取を支える直角三角形の直角部分を頂点にしたような構図だ。
 
 横内頭取が2006年6月に誕生して以降は、中井副頭取の1人体制が続き、昨年6月の中井氏の退任に伴って2人の常務が副頭取に抜擢された。
 
 拓銀出身の石井氏と北洋プロパーの柴田氏で、この時点で日銀出身者が副頭取に在籍しない異例の体制が敷かれた。今年6月には高向会長が代表権を返上し、新たに2人の副頭取に代表権が付与されるため、ポスト横内は2人の中から選ばれる可能性が高まった。
 
 高向氏は2000年6月に頭取就任し06年6月に会長に就いている。頭取在任期間は6年。頭取就任時の年齢は61歳で退任時は67歳。
 
 横内氏は06年6月に頭取に就任したがその時の年齢は奇しくも高向会長と同じ61歳。在任5年目に入るが、2~3年後には頭取を退任するものと見られる。
 
 頭取を引き継ぐのは2人の副頭取のいずれかになる可能性が高いが、石井氏が就けば北洋銀が拓銀の営業譲渡を受けて以来、およそ15年で初の拓銀出身頭取誕生となるし、柴田氏が選ばれると初の北洋相互銀行出身頭取の誕生となる。
 
 いずれにしても目下、横内頭取を頂点に2副頭取が二等辺三角形で支える構図で、以前の直角三角形にように次期頭取が見える体制ではないため、頭取レースは一層混沌としてくるだろう。
 
 では、日銀とは人的な結びつきは切れるのだろうか。「こればかりは正直分からない。日銀の情報は会長、頭取以外は誰にも分からない。横内頭取が北洋入りするときも直前まで誰にも分からなかったくらいだ。次は日銀出身頭取が絶対ないとは言えない」(金融関係者)


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