道内銀行の首脳は3日、中小企業の資金繰りを助けるための中小企業金融円滑化法を再延長すべきではないという意向を示した。金融円滑化法は返済猶予によって中小企業の事業再生を進めることを狙ったものだが、実際は再生が進んでおらず返済猶予を受けている中小企業の中には逆に借り入れを増やしたところもある。企業再生に詳しい弁護士によると、「こうしたレッドカードの中小企業は道内でも相当数にのぼる」と見ている。道内行首脳は、「円滑化法の適用期限を今年度限りとし、来年度以降は中小企業者同士の再編・統合に向けた新たな政策誘導が必要」と主張している。
2009年末に亀井静香元金融相の提案で施行された金融円滑化法は、金融機関から融資を受けている中小企業や個人が金利の減免や返済猶予を金融機関に申し出れば基本的にその金融機関は応じなければならないという義務がある。10年度末までの時限立法だったが、1年間延長されて11年度末までが政策適用の期限になっている。
ただ、東日本大震災や円高、欧州の債務危機によって国内中小企業の景況は改善されておらず、中小零細企業が大半を占める道内はさらに厳しい状況と見られている。
金融円滑化法は、返済負担を軽減して再生に向けた取り組みを促すことも狙いだったが、実際には再生は殆ど進んでおらず潜在的な不良債権はむしろ増えているのが実態。
このため、道内行の首脳は、「円滑化法を今年度限りとして、来年度からは中小企業者同士の再編や統合を促す政策誘導が必要」と語っている。
中小企業の再生に詳しい道内弁護士も、「道内では景気低迷によって民事再生をしても再生計画が立てられないほど事業機会が失われつつある。円滑化法の適用を受けている中小企業の中には、他の金融機関からさらに借り入れをしているところもあり、そういうところは“レッドカード”を突きつけられることになる」と述べ、来年度以降も円滑化法が継続されればさらに道内中小企業の不良債権化は加速すると警鐘を鳴らしている。
道内の2011年度の名目ベースの経済成長率は、北海道二十一世紀総合研究所によるとマイナス1・3%。実質成長率もマイナス0・9%。観光客の落ち込みや個人消費の縮み、公共投資の減少が色濃く影響してくるという。