(写真は、事業承継と地域金融機関の役割について話し合われたパネルディスカッション)
続いて『北海道における事業承継の課題と地域金融機関に求められる役割』と題してパネルディスカッションが行われた。パネリストは守氏と鈴木誠・北海道銀行執行役員(札幌・石狩、後志地区営業担当)、荒山恭一・旭川信用金庫地域振興部長で、コーディネーターは、齋藤一朗・小樽商科大学大学院商学研究科教授が務めた。
荒山氏は、平成28年度から本格的に事業承継に取り組み始めたことを紹介し、「当金庫職員も3~4年で転勤するため事業承継に関してきちんと引継ぎをしなければ話が途切れてしまうことを痛感している。経営者の相談相手は、まず顧問税理士で次に友人、夫人と続き金融機関はずっと後になっている。事業承継を進めるには、良いも悪いも話せる関係が構築できるかどうかにかかっている」と話した。
鈴木氏は、「経営者と金融機関の思いが一緒でも、現実的には顧問税理士の理解が得られずに前に進みにくいことが多い。我々としても経営者の意向を無視して前には進められない。最初の段階から顧問税理士も一緒に承継を考えていくことが対策になるのでは」と述べた。
守氏は、事業承継を受ける人への個人保証を撤廃する必要性について話し、「承継を受ける人にとって最大の難関が前経営者の個人保証を引き継ぐこと。行政官庁もこの点について環境整備に動いており金融機関もぜひ検討して欲しい。承継か廃業か、どっちが地域のためになるかの判断をしていくべきだ」と話した。
齋藤氏は、「事業承継は信頼関係を築くことが大切で金融マンの人間力も問われる。また、地域活性化や地域再生など地域社会とどう向き合うかということにも繋がる。金融機関はそういう側面で(事業承継を)考えることが大事」とまとめていた。