札幌信用金庫(本店・札幌市中央区)は17日、札幌市中央区の札幌ビューホテル大通公園地下2階のピアリッジホールで経済講演会を開催した。講師は、エコノミストで明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之氏。飯田氏は『これからの日本経済~企業と地域から始まる経済成長』をテーマに約1時間半講演、約600人が熱心に聞き入った。(写真は、講演する飯田泰之氏)
飯田氏は、2030年に日本経済が活力を持つためには、需要をどう盛り上げていくかが大事だとし、音楽のダウンロード販売をあげ、「欲しいものはモノそのものではなくなっている。手に取って触れないモノ、つまりスタイルや楽しみ方の需要をどう盛り上げていくかだ」と話し、そうしたスタイルや楽しみ方を創りだしていくアイデアが経済成長のベースになるとした。
アイデアが生まれる源泉は、企業間や地域間で人と人が出会うことだとし、「そのためにはUターンやIターン、Jターンをしやすいような人の移動環境を整えることが大切。人が動くことでそれぞれの地域で出会いが多くなり、それがアイデアを生む土壌になる」と語った。
アップル創業者、スティーブ・ジョブスの『コネクティング ドッツ』の言葉を引用し、「人と人の出会いからアイデアは生まれる。その場合、強い繋がりよりもフワッとした横のフランクな繋がりの方が良いアイデアは生まれやすい」と訴えた。
最後に飯田氏は、地方都市の再開発に触れて、「中心市街地活性化で気を付けないといけないのは、都市機能の効率性を求めた整然とした街並みは地方に1つあれば良いということ。北海道で札幌や旭川が同じような街並みになったら、どうしても商業集積が高い札幌に人は惹きつけられてしまうから。札幌でも中心部以外は、ごちゃごちゃした狭いエリアで飲食店などがひしめいているような街並みの方が良いのではないか」と述べた。マチの魅力は多様な人材に会えること。整然さよりも雑然さが出会いを促進しそうだ。