「地方創生フォーラム」に350人 北洋銀と21世紀総研が主催

金融

 北洋銀行(本店・札幌市中央区)とグループの北海道二十一世紀総合研究所(本社・同)は16日、札幌市内のホテルで「地方創生フォーラム~地方創生における地域産業の役割」を開催した。企業や行政関係者など約350人が出席、地方創生のヒントを探ろうと熱心に聞き入っていた。IMG_9106(パネルディスカッションでは、自治体首長や民間企業経営者が地方創生のポイントを語り合った=写真)

 最初に基調講演として 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局企画官の西川和宏氏が「『まち・ひと・しごと創生』について~地方創生における民間企業の関わり~」をテーマに講演。西川氏は、「石破茂地方創生相は銀行出身(旧三井銀行)で地域金融機関の役割が重要であることを認識している。創生本部も官公庁出身者だけでなく日銀や信用金庫からも人が参加しており、民間企業中心で地方創生を進めている点が特徴だ」と話した。金融機関のネットワークを活用しながら地域で危機感を共有、一丸となって民間発のアイデアを地方創生に活かすことが求められると強調し「主役は地域の民間企業」と訴えた。
IMG_9095(写真は、講演する西川和宏氏)
 
 続いて、共同通信社編集局企画委員兼論説委員の伊藤祐三氏は、「地域づくり、3つのポイント」と題して講演。国主導の地域づくりが行き詰まっていること、行政による単年度主義による地域づくりが実際の地域活性化に結びつかないのは時間軸の齟齬があることなどを指摘、「地方創生の兆しは辺境の小さな取り組みから生まれてくる」として沖縄県の『島の風』や兵庫県丹波市の自治会が始めた太陽光発電所などを紹介した。そのうえで「リーマンショックの教訓は、霞が関・永田町モデルの限界を示し身の丈に合った小さな経済圏の確立が大切だということを示した。行政、企業、金融機関が結集して地元が決定権を持つことが地方創生の鍵」と話した。
IMG_9099(写真は、講演する伊藤祐三氏)
 
 続いて、「北海道の地方創生」をテーマに北海道大学公共政策大学院特任教授の小磯修二氏がコーディネーター役を務めたパネルディスカッションも行われた。
 釧路市長の蛯名大也氏は、「地元企業とタッグを組んで行くことが必要だが、公正公平であるべきという行政の意識を変える必要がある。つまり公正は必要だが頑張っている企業と組むというようにどの企業も公平に扱うという意味での公平さは必要ないということ。そのうえで一戦必勝ではなく十戦二勝というように行政がリスクを取って挑戦していくことが求められる」と語った。
 
 北海道和種馬(道産子)を活用した体験牧場や宿泊施設を計画しているどさんこミュゼ代表取締役の宮本英樹氏は、「過去にその地方にあった伝統や文化、産業を再評価して再構成していくことが地方創生の本質ではないか。個人的には成長を志向するよりも、なくしてはいけないものを保存する視点が必要ではないか」と訴えた。
 中小企業や地方自治体のプロモーションを手掛ける桐光クリエイティブ代表取締役の吉田聡子氏は、「地域にある食、観光の何が強みなのかを細分化して人の心を動かす共感のストーリーを重視することが求められる。本物ならストーリーは作れます」と指摘した。
 北洋銀の常務執行役員地域産業支援部長の塚見孝成氏は、「地方創生と言うと大きな枠組みの中で考えてしまうが、皆さんの話を聞いていてもっと地域に根差した小さな情報を拾い上げていく必要性を痛感した。各支店長や外部企業などと草の根的に地域資源を掘り起こしていきたい」と話した。
 
 最後に小磯教授はこう締めくくった――「地方自らが強みと弱みをしっかりと認識して戦略を練るためには地方の自画像を把握しなければならない。そのための場づくりが大事だが、ネットワークを構築するのは行政よりも金融機関ではないか」と金融機関の役割をもっと活かすべきだと提言していた。

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