北大・DBJ・北洋・道銀が「北海道PFI推進セミナー」開催、人口減と高齢化進む小規模自治体にこそ必要なPFIを議論

金融

IMG_9427IMG_9440 北海道大学と日本政策投資銀行(DBJ)、北洋銀行、北海道銀行は4者共同主催で22日、「北海道PFI推進セミナー」を札幌市内のかでる2・7で開催した。PFIは、公共事業に民間資金等を活用する事業のことで安倍政権の成長戦略の柱の一つ。内閣府民間資金活用事業推進室の井上誠参事官が基調講演したほか、道内PFIの現状と展望について北大公共政策大学院の石井吉春教授や政投銀の佐竹俊哉地域企画部長・PPP/PFI推進部長、北洋銀の大畑周司市場開発部副部長、道銀の戸川宗治営業推進部上席調査役、PFIで実績のある岩手県紫波(しわ)町の鎌田千市経営支援部企画課公民連携室長の5人がパネルディスカッションした。自治体や金融機関、民間企業など約200人が出席した。(写真左は基調講演する内閣府井上誠参事官。写真右はパネルディスカッション)
 
 基調講演した井上氏はPFIの狙いは、国や地方の厳しい財政状況の中で必要な社会資本整備を公的資金だけでなく民間の資金やノウハウを活用して効率的に進め経済活性化や経済成長を実現する手法であることを強調。
 
 安倍政権の成長戦略の柱として制度設計されており「これまでの14年間では全国で4兆円規模だったが今後10年間で10~12兆円規模までPFI事業を高めていく」とし、①空港や上下水道のコンセッション(運営権制度)②公共施設と民間施設の併設・活用③公的不動産活用などを積極的に進めたい意向を示した。また、課題として地方公共団体がPFIを1割しか活用していない実態があることから「知識、経験、ノウハウなどが必要で『とっつきにくいため自治体は自力で難しい』と考えているためだろう。内閣府ではPFI専門家の派遣やPFI案件形成支援を行っている」と活用を促した。
 
 パネルディスカッションでは、紫波町が15年前に取得して塩漬けになっていた土地を活用してPPP(官民パートナーシップ)で公共施設と民間施設を併設した実例を紹介したほか各パネラーから実績と課題が示された。
 
 北大教授の石井氏は、「自治体の資金調達の多様化に繋がるとともに官が強く民の弱い北海道で持続的成長を図るためにはPFIで官から民への流れが作って行くべき」と強調、政投銀の佐竹氏は、「自治体の人材不足を補っていくのが大事で内閣府や国交省の蓄積を有効活用していくべき」と訴えた。
 
 北洋銀の大畑氏は、これまで道内で16件のPFI実績があり北洋銀が9件にファイナンスをしたことを紹介、「民間参入意欲をどう高めるかが課題でノウハウの蓄積が一番のポイントだ」と指摘、道銀の戸川氏はPFIで4件41億円の実績を語ったうえで「コンセッションはPFIの目玉とされているが、事業すべてを独立採算にするのではなく地域に即して事業を分割していくのも必要になる」と語った。

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER