全国的には景気の持ち直しが統計上も明らかになってきたが、北海道は依然として低空飛行を続けている。「いざなぎ越え」と言われた前回の景気拡大局面でも、北海道は取り残されていただけに、今回も実感としての回復とは無縁だ。
景気回復の牽引役は設備投資と個人消費だが、北海道においての設備投資が見込める函館、室蘭、苫小牧の噴火湾ベルト地帯は、東京主導の設備投資で地元に落ちるおカネは限られている。


それに個人消費の自動車、住宅もエコポイント制度による上乗せ需要があって仮需的な臭いがあるし、何より北海道の人口を考えた場合、特に住宅など裾野の広い産業でも消費は限定的と言わざるを得ない。
結論的に言えば、全国の景気持ち直しの数値は、北海道出は割引して考えなければならず、「割引経済数値」で北海道ローカル指標を弾かなければ実態を表しているとは言えない。
そんな北海道経済にまともメガバンクが融資攻勢を仕掛けてきた。3~4年前にも、メガバンクの北海道攻勢があったが、その時も道内の中小企業がメガとの取引を始めたことがある。当時のメガの融資基準は、スコアリングモデルと言って、経営数値を入力すればこのくらいまでなら貸しても大丈夫というコンピューター融資のようなものだった。
経営を担っているトップや幹部の意欲や意識という属人的なものは排除した冷たい融資だった。
だから、少しでも返済が滞るとスーッと潮が引くように融資を引き揚げる。企業の中身なんて関係ないから、融資引き揚げによって資金計画がおかしくなり倒産した中小企業も多かったそうだ。
リーマンショックでメガは道内から一勢退却。勿論固定客?とは強固な関係を保っているが、浮動票のような浮動融資はリーマンを契機にぷっつりと蛇口を止めた。
しかし、ここに来て再びメガの攻勢が始まったという。スコアリングモデルの失敗を教訓に、地に着いた中小企業融資で道内融資先の開拓を進めるというのだ。その武器は「金利」。迎え撃つ、北洋、道銀、地域の信金はどう戦っていくのか。メガのリベンジに各金融機関の真価が問われる。

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