北門信用金庫(本店・滝川市、小嶋俊明理事長)の前常勤理事本店長(55)が取引先への融資を偽装して1818万円を着服していた。同信金の8日付の広報資料によると、前理事は既に全額を弁済、取引先からの個人的借入600万円も弁済予定という。信金はその本店長に7月7日、辞職勧告を行いその理事は同日付で辞任した。全額が弁済されているため実損はなく同信金は告訴しない。(写真は、滝川市にある北門信金本店)
事件の概要はこうだ。
前理事は、職員支店長だった2010年7月から11年3月にかけて、取引先の法人、個人の了解のもと取引先名義で不正に融資を実行。その取引先から融資金を還流させる方法で取引先3件、計15件に不正融資して着服していた。
今年6月2日にその取引先から債務額の確認があったことを端緒に発覚。同信金が内部調査した結果、07年から現在まで2先の取引先に対して同様の不正融資を行っていたことも判明した。また1先の取引先からは個人的な借り入れも行っていた。
この理事は、多重債務に陥っており借入の返済や生活資金に窮して不正融資に至った。不正融資額は2798万円で前理事は1818万円を着服、個人的な借入金は600万円だった。
同信金では事件発覚後に監督官庁である北海道財務局など関係機関に報告や法令に基づく届出を行った。また、経営責任を明確にするため理事長以下、常勤役員の報酬を減額した。
今後の事故防止策として、内部管理態勢や法令遵守の強化に取り組み、事務管理の徹底、事務取扱を厳正化する。また、役職員がカネに困っていないかの身上調査、本店や支店への臨店査閲なども徹底するという。
前理事は札幌支店長から14年4月に本店長に就任、一般的な企業の取締役にあたる常勤理事に昇進していた。同信金には理事長、専務理事、常務理事以下4人の常勤理事がおり本店長は末席理事だった。北問信金の預金量は2475億円で、預金規模から言うと道内24信金中14番目。