釧路信用組合(釧路市)は19日、金融機能強化法に基づいて公的資金80億円を12月12日に受け入れると発表した。公的資金で自己資本を充実させ繰越損失を一掃、同資金受け入れのために策定した経営強化計画に基づき中小企業向け融資を増やす。(写真は、釧路信用組合本店)
同信組は、信組の全国組織である全国信用協同組合連合会(全信組連)から2010年に30億円、11年に40億円の資本支援を受けている。11年3月期 までは4期連続赤字だったが、これらの支援を受けた12年3月期に5期ぶりに黒字転換、13年3月期は1億1500万円、14年3月期も1億6900万円 の黒字を確保している。
しかし、14年3月期も23億4300万円繰越損失が残っているため、リスク管理を取って積極的な融資を行うには自己資本の一段の充実が欠かせなかった。
同信組の岩田豊理事長は、今年1月に信用組合業界の全信組連と協議、公的資金注入を検討することを明らかにしていた。注入スキームは、まず釧路信組が発行する優先出資証券を全信組連が引き受け、全信組連の信託受益権を金融庁が買い取るもの。
優先出資額(注入額)は80億円で、同信組は経営強化計画に基づいて中小企業向け融資を増やしていく。具体的には北洋銀出身の荒川武志常勤理事を中心に営業推進体制を強化、道東地域の観光客誘致のため関係機関と道央圏で観光プロモーション行ったり、地域の食材を集めたフードフェアの開催、生産者と2次、3次業者のビジネスマッチングによって6次産業化などを支援する。
同計画の実行で、コア業務純益を2015年3月期に1億7900万円、17年3月期には2億300万円に引き上げる。自己資本比率は、14年3月期の8・95%から15年3月期は28・77%、17年3月期は29・00%を予定している。
また、中小企業向け貸出しは、14年3月期に286億8500万円だったが、17年3月期には309億円に拡大、中小企業向け貸出比率を0・80%、額にして22億1500万円増やす。
釧路信組の発表リリースは、http://www.kushiro.shinkumi.jp/pdf/kyouka01.pdf
http://www.kushiro.shinkumi.jp/pdf/kyouka03a.pdf