札幌中心部に解体待つオフィスビル2棟、札幌の発展見つめた陰の主役たちまもなく退場

経済総合

IMG_0897IMG_0899 札幌中心部に2つのビルが解体を待って佇んでいる。2つのビルは日中でもどの階にも明かりがともらない幽霊ビルのような趣(おもむき)。人の出入りがないビルは、車が途切れることなく行き来したり、慌ただしく歩く人たちの姿を横目で睨みながら、まるで時間が止まったように泰然と構えているように見える。役割を終えた2つのビルにやがて重機の爪が入り見る間に更地となって新しいビルの槌音が響くことになる。(写真左は明治安田生命札幌ビル、写真右は北一条ビル)
 
 札幌市役所の“はすかい”にある「明治安田生命札幌ビル」(北1西1)は、昨年末には入居テナントがすべて撤退して空きビルになった。北1条通と西2丁目通が交差する東側に建つ同ビルは、札幌市が進める創成3区再開発事業の北1西1街区にあたり、取り壊しが決まっている。
 2014年度から解体が始まり、その後は地上約154mの超高層ビルと地上約70mの市民交流複合施設などが建設され、17年度には竣工する。
 
 もう一つ、解体を待っているのは、藤井ビル(本社・札幌市)が所有する札幌市中央区の「北1条ビル」(北1西5)。日銀札幌支店の東側に位置し、かつては手形交換所や札幌銀行協会が入居するなど札幌経済界の枢要な機関が入るオフィスビルだった。竣工したのは1962年11月。日本が高度成長期を迎えたころで、札幌の経済も黎明期で南北に細長い10階建てのビルは伸び行く札幌の未来を手繰り寄せるような建物だった。今年で築後52年になるが、昨年春にはすべてのテナントが撤退していた。こちらの解体後の新ビル構想については明らかになっていない。
 
 経済の新陳代謝を象徴するオフィスビルのスクラップ&ビルドは、マチの活力を示すバロメーターでもある。マチの喧騒の中で主のいなくなった孤高のビル2棟を眺めやる余裕も持っていたいものである。

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