札幌中心部でオフィスビル新築ラッシュ、今後5年間で5万㎡超える供給で懸念される『2017年問題』

経済総合

DSC_5235 札幌市内の中心部、駅前通でオフィスビルの新築ラッシュが起きている。札幌市の再開発事業として進められる北1西1再開発ビルも含めると4年後には5棟のビルが完成する。「オフィスビルは現在でも借り手市場。テナント需要が大きく伸びない中でオフィスビルは供給過剰に陥るだろう」と札幌の“2017年問題”を懸念する声が出ている。(写真は来年夏に竣工する札幌三井JPビル=右。2006年に竣工した日本生命札幌ビルと隣接する)
 
 既存のオフィスビル経営者は「今でもビルを埋めるのに四苦八苦している状況だ。1社の借り手に対して供給側のテナントビル事業者は4~10社もある。借り手にとっては賃料が安くて利便性の良いビルを選びやすい環境だが、ビル業者にとっては死活問題」と嘆く。
 
 駅前通で建設が進んでいるオフィスビルは予定物件を含めて4棟ある。2014年夏に竣工するのが北2西4の「札幌三井JPビル」。地下3階、地上20階でオフィス部分は5階から上層の階(ただし7階はメディカルフロア)でオフィス部分の延床面積は2万3541㎡。今月5日から着工したのが大通西3の明治安田生命札幌大通ビル。地下1階、地上14階で3階以上がオフィスになる。オフィス部分の延床面積は約6500㎡。完成は15年1月末。
 
 南2西3では札幌信金が新本店ビルとテナントビルの2棟を建設中。新本店ビルは札信金が利用するがテナントビルはオフィス向けに売却する。テナントビルは地下1階、地上8階で延床面積は約4700㎡。完成は16年春。
 
 また、来年4月から取り壊しが始まりの新ビル建設が始まるのが北2西3。既存の札幌フコク生命駅前通ビルと越山ビル、札幌ビルディングを一体ビルにするものでこちらは地下1階、地上13階。4階以上がオフィスフロアになる予定。延床面積は約1万2000㎡。完成は17年春。
 
 駅前通から外れるが来年から建設が始まるのが札幌市も地権者となっている北1西1の再開発ビル。市民交流複合施設を整備した地下5階、地上28階で延べ床面積は12万7900㎡。オフィス部分は9階から上層のフロアになりそう。
 建設中と計画されているオフィスビルの延床面積を合計すると5万㎡を超える。
 
 いずれのビルも地下歩行空間や地下街などと接続しており利便性は高い。さらに、「三井」「JP」「明治安田生命」「フコク生命」「札幌市」とビルオーナーは超一流のブランドばかり。来年から毎年1棟ずつ新築オフィスビルが竣工していくことになりテナントリーシング競争は熾烈になることが予想される。
 
「既存のビルから新築されたビルに移るテナントが増えることが予想されるが、それだけではフロアを埋めることはできないだろう。オフィスビルの供給過剰に拍車がかかるのは確実」(既存ビル業者)
 
 札幌の「2017年問題」を孕みながらビル新築ラッシュが続く。

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