札幌商工会議所会頭に安田光春氏、就任会見を全録

経済総合

(写真は、札商第39期の正副会頭)

 ――特に最優先で取り組みたいことは。

 安田 人口減少にどのように対応するかだ。インバウンド、GX、証券取引所の機能などを活用して、外から人を引き付けていくことに、いかに取り組んでいくかが大事だ。食料自給率の高い北海道で、一次産業をどう育てていくかも重要だ。適切な利益を得るために、どうやって稼ぐ力を向上させるかということも同時に取り組んでいかなければならないが、それは、商工会議所の重要な使命だとも思っている。

 次世代半導体やGXなどについて、中小企業や小規模事業者が個別に対応していくのは難しい。それらを取りまとめて支援していくのも、商工会議所の重要な使命なので、何ができるかを検討したい。

 ――冬季五輪の誘致断念や北海道新幹線札幌延伸の遅れに対するまちづくりへの影響は。

 安田 オリパラについては(招致を)諦めたわけではないし、新幹線についても課題をなるべく早く解消して早期の延伸を目指す。ただ、すべての開発案件を、冬季五輪や北海道新幹線札幌延伸の2030年度までに間に合わすのは、そもそも難しかったと思う。これからの時間軸を利用して、計画的に開発を進めていくことを考えていかなければならない。これらに携わる事業者を、商工会議所は一緒になって支えていく。

 ――北海道電力が、原発再稼働による電気料金の値下げ見通しを明らかにした。引き下げについて。

 安田 引き下げ率は、各企業の努力の結果なので、経済団体が口を出すことにはならない。電力の安定供給には、原発稼働は有効だ。化石燃料を使わないことにも資する。しかし、安全が大前提だ。道民が納得するだけの説明がなされて、安全だと理解していただくのが重要。一般の方が、どの程度安全なのか、危険なのかの判断がつかない状況にあると思う。きちんと理解してもらった上での原発稼働は、有効な手段だし検討を進めるべきだと思う。データセンター誘致の鍵も電気料金。値下げは、北海道にとってはプラスになる。

 ――ラピダス、GXを道内企業とどう結び付けるのか。

 安田 ラピダス、GXについては、サプライチェーンの構築がまだ進んでいない。道内企業が入り込んでいくのは、このサプライチェーンになると思うので、商工会議所として(事業機会づくりに)お手伝いする。ラピダスについては、北海道経済連合会が一元的に管理しており、札商と複合的に支援することが必要。今から、準備して入っていけるようにしないとだめだと思う。
 スタートアップを北海道、札幌に誘致して、証券取引所で資金調達ができるような形にしないといけない。市、取引所、商工会議所、道経連などが、タッグを組んでやっていかないと難しいので、一緒に取り組んでいきたい。

■副会頭
▷加藤欣也氏(昭和交通会長、73、副会頭2期)▷中田隆博氏(道路工業社長、64、副会頭1期)▷古野重幸氏(フルテック会長CEO、67)▷武藤修氏(マルスイホールディングス社長、66)▷渡邊克仁氏(北都交通代表取締役、69)▷川村智郷氏(北海道ガス社長、56)

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