網走・天都山山頂付近で新酒蔵12月着工、2026年秋に40数年ぶり地酒復活

経済総合

 上川大雪酒造(本社・上川郡上川町)は、網走市天都山の山頂付近で、道内4ヵ所目となる酒蔵の建設を2025年12月3日から始める。この日、関係者が参加して安全祈願祭を行う予定で、竣工は、2026年夏頃になる予定。早ければ来秋には、新酒蔵で醸造された新酒を飲むことができそうだ。(写真は、上川大雪酒造の酒蔵が建設される場所=手前のくぼ地)

 上川大雪酒造は、2024年8月、日本酒の醸造を含めた連携協定を網走市、大空町と締結した。網走の水と大空町で栽培される酒造好適米を利用することにしているが、網走市の水道水は、藻琴山の湧き水を利用しており、年間を通して水温は8℃程度とされ、硬度27度の軟水。まろやかで飲みやすい特徴がある。酒蔵の建設地は、天都山配水池に近く、この水を利用して酒を醸造する。

 建設場所は、網走観光の名所で天都山の山頂にある「オホーツク流氷館」のすぐ近くで、オホーツク海や知床連山が望める場所。2025年5月から土地造成と基礎工事が始まっており、12月3日の安全祈願祭を経て、酒蔵の建設に入る。

 かつて、網走市には、酒蔵の田辺本店あって、地酒「君が袖」を醸造していた。しかし、田辺本店は、1982年に倒産、地酒は消えた。その後、市の酒小売組合が、金滴酒造(本社・樺戸郡新十津川町)に「君が袖」の醸造を委託、水は、網走から運んでいるものの、地元の蔵元ではない地酒が流通している。ちなみに、2025年2月に供用開始となった新しい網走市庁舎は、田辺本店の跡地を利用して建設された。

 今回、田辺本店以来、40数年ぶりに酒蔵が復活、地元の期待は大きい。順調にいけば、2026年秋に新酒の流通が始まる。上川大雪酒造は、本社のある上川町に「緑丘蔵」、帯広畜産大学構内に「碧雲蔵」、函館市に「五稜乃蔵」(廃校になった小中学校跡地)を展開している。網走市の蔵名や酒の名前は決まっていないが、どんな名前になるのかを含めて、観光業界や飲食業界では、地酒を歓迎する機運が高まっている。

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