北海道の若手経営者を育てる第10期「北海道経営未来塾」(塾長・長内順一未来経営研究所社長、実行委員会主催)の第3回定例講座が、2025年8月25日、札幌市中央区の札幌パークホテル1階テラスルームが開催された。東急グループ代表で東急(本社・東京都渋谷区)会長の野本弘文氏(77)が、「私の履歴書~経営者として思うこと~」をテーマに約70分間講演、30数人の塾生が聴講した。(写真は、講演する東急グループ代表・東急会長の野本弘文氏)
(写真は、野本氏を囲んだ記念写真)
野本氏は冒頭、東急グループと北海道の関係について話し、東急グループの事実上の創業者である五島慶太氏が、北海道開発庁長官だった正力松太郎氏の北海道開発促進構想(正力構想)を承継して、1957年から1964年に掛け、定山渓鉄道や函館バス、宗谷バス、北見バス、斜里バス、北紋バス、網走交通を承継、運営を始めたことに由来することを紹介した。そのうえで、「ホテル事業はやや縮小したが、観光では6年目になった『ザ・ロイヤルエクスプレス』の運行に車両を貸し出すなど、北海道は地元の東京以外で一番が縁が深い」と話した。
東急不動産への出向時代に会員制リゾート・東急ハーヴェストクラブを担当したことに触れ、「諦めない気持ちが必要だ。諦めななければ失敗もない。また、この仕事は誰のため、何のためということを明快に言える仕事でないといけない。自分の考えをしっかりと言える風土を作ることも必要で、そうなれば必ず会社は良くなる」と紹介した。さらに経営者に求められる3つの力についても言及、「将来のビジョンをストーリーを描いて共感させる『構想力』、正しい判断と責任を負う決断をする『判断力・決断力』、リスクに対する『想像力・行動力』が求められる。想像できないことには対応できないため、想像力を育てる経験が不可欠だ」と述べた。
「COCONO SUSUKINO」や北4西3市街地再開発事業など、札幌のまちづくりにも参画している東急グループだが、野本氏はまちづくりには最低でも3つの魅力が必要だと強調、「渋谷で3つの魅力を聞くと、忠犬ハチ公とスクランブル交差点は誰もが挙げるが、3つ目がバラバラだった。しかし、今は東急の『スカイ』(展望施設)を挙げる人が多い。3つ揃うと行ってみたいと思うようになる。まちづくりに限らず、3つの魅力を組み合わせることで面白い効果が出てくるかもしれない」と塾生にヒントを示していた。