ラピダスが2nm半導体試作品でトランジスタ動作確認、小池淳義社長「大きなマイルストーンを超えた」

経済総合

 次世代半導体の量産を目指しているラピダス(本社・東京都千代田区)は2025年7月18日、千歳市美々の新工場「IIM-1(イーム・ワン)」で試作した回路線幅2nm(ナノは10億分の1)の半導体で、トランジスタ動作を確認したと発表した。ラピダスは、2024年12月25日に、2nmの回路が形成できるASML(オランダ)のEUV(極端紫外線)露光装置をIIM-1に搬入、2025年4月1日には、パターンの露光・現像に成功、その3ヵ月後の同年7月10日、試作ウエハーにおいて、2nmのGAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタの動作を、日本で初めて確認した。ラピダスの小池淳義社長兼CEOは、「2027年の量産化に向けて、大きなマイルストーンを超えた」と話した。(写真は、2nm GAAトランジスタ試作ウエハーを披露する小池社長ら。左から、ラピダス・東哲郎会長、小池淳義社長、道・鈴木直道知事、千歳市・横田隆一市長)

 この日、千歳市のANAクラウンプラザホテル千歳で開催された「カスタマーイベント」に合わせて行われた記者会見には、ラピダスの東哲郎会長、小池社長、鈴木直道知事、横田隆一千歳市長が出席した。2nmのGAAトランジスタの動作確認をしたことに、東会長は「10数年遅れた日本が、最先端の技術に挑戦していることだけでなく、世界でも稀にみる異例のスピードでここまで来ていることに世界が非常に驚いている」と挨拶。小池社長は、「2年ほど前に、同じこの会場で同じメンバーで記者会見をしたが、2年経って皆さまが驚くような成果を発表できることを大変うれしく思う」と述べた。
 鈴木知事は「北海道の半導体産業にとって、本日が大きな歴史の1ページだと確信している。道は全力で支え、さらなる産業振興に繋げたい」と語り、横田市長は「市は、産業集積をさらに進めるため2年後の2027年に新しい工業団地を造成する。今後も地元自治体として、道とも連携を密に受け入れ環境の整備をしっかり進め、ラピダスと一緒になってプロジェクトの成功に向けて全力で取り組む。日の丸半導体が、再び世界をリードする第一歩となることを期待したい」と話した。その後、4人は2nmのGAAトランジスタが形成されたウエハーの除幕式を行い、披露した。小池社長の記者会見での一問一答は次の通り。

(写真は、プレゼンテーションするラピダス・小池淳義社長)

 小池 今まで日本で経験したことのない2nmのGAAトランジスタの動作を確認することができたことが、最大の成果だ。これから、特性を解明して、性能や歩留まり向上など、量産に向けて取り組んでいく。お客の注文を取って製品を作るが、我々は、これに必要なトランジスタの性能を確認できたということだ。お客が満足できる設計に、十分耐えられることを確認できた。大きなマイルストーンを超えた。

 ーー大口顧客にどんなアプローチをかけていくか。

 小池 カスタマーイベントには、海外からも多くのお客がきている。お客と我々の仲間であるインベスター、協力者が集まって、成果をはっきりと確認して次の段階である設計の準備を始めていく。

 ーー量産になった場合のチップ生産量はどのくらいか。

 小池 量産に関しては2027年から行うことをすでにお伝えしているが、生産量、生産数は企業秘密でお答えできない。

 ーーラピダスにとって今回の試作品をどう位置付けているか。

 小池 お客が、これだったら自分たちの製品が設計できる、これから実際の製品に向けてのスタートができるという理解が深まった。性能を一歩一歩高めていき、試作を2027年まで続ける。これらの段階を一つずつ示すことによってお客の理解がさらに深まり、基本的な設計が始まっていくという段階になる。配線工程は、トランジスタの性能を測るために、いくつか対応しているが、詳しい数は非公開とする。

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