北海道の大転換がやってくる。国内主要企業が出資して次世代半導体の国産化を目指すRapidus(ラピダス社、本社・東京都千代田区)が、千歳市美々ワールドに工場建設を決めたからだ。ラピダス社の挑戦は、北海道の歴史の中でも過去最大の投資案件。工場や研究所が整備され量産化が進めば、北海道は日本が誇る、世界が誇る最先端地域になる。(写真は、千歳市を訪問した小池社長=左。右は山口幸太郎市長)

 北海道は、食と観光が経済の牽引役と言われているが、近い将来、そこに半導体が加わるかもしれない。半導体産業はそれだけ裾野が広い。ラピダス社が千歳に工場建設を決めた理由は、豊富な水と豊富な再生可能エネルギー、大自然に囲まれた広大な用地があること。さらに、北海道大学など先端技術の蓄積があり、世界中の技術者が集まることができる環境があるため。

 2月28日、ラピダスの小池淳義社長は道の鈴木直道知事を訪問、千歳進出を直接伝えた。小池氏は、「世界で最先端の技術を駆使して世界最高水準の工場を建設する。AI、ディープラーニングで世界中がアッと驚くような今までない半導体工場を造る。これだけ大規模な工場というのは大きなチャレンジだ」と述べた。

 新工場には試作段階で300人、量産段階で400人以上のエンジニアが集結する予定で、工場要員全体では数千人規模になるという。「お客さまの設計支援をスピーディーに行うシステム、前工程の高速生産技術、積層パッケージ技術の3つを一体に取り組むのがラピダス社の使命。千歳には前工程と後工程の一貫ラインを建設する」と小池氏は話した。

 ラピダス社の投資規模は、2020年代後半までに3兆円規模にもなるという。工場建設の投資波及効果もさることながら、稼働が始まれば北海道に計り知れない効果をもたらすことになるだろう。小池社長は、1983年に千歳臨空工業団地で創業を開始した、日立北海セミコンダクタ(現ミツミ電機)の工場立ち上げに関わったことがある。それから40年、再び千歳で国家プロジェクトとも言える工場建設に挑戦することになる。「千歳はとても素敵な街」ーー十指に余る候補地の中から北海道、千歳を選択した小池社長、最後にこんな言葉を残して会見場を後にした。
(写真は、鈴木直道知事=左に千歳進出を伝えたラピダス社・小池淳義社長)
(画像は、千歳美々ワールドの概要図。A、Bが進出するとみられる地区)

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