キャリアバンク(本社・札幌市中央区)は、人手不足の企業が初めて特定技能外国人の採用に踏み切ることができる事業を、期間限定で始めた。札幌市の「令和7年度外国人受入・定着支援事業」を受託したもので、特定技能外国人の受け入れ費用を半額補助、初期費用は20万円で済む。キャリアバンクの水田充彦取締役海外事業部部長は、「特定技能外国人の採用に二の足を踏んでいる企業の背中を押したい」と話す。(写真は、特定技能外国人の入国時=キャリアバンク提供)
(写真は、特定技能外国人のオンライン面接時=キャリアバンク提供)
特定技能制度は、国内の深刻な人手不足に対応するため、2019年4月に創設された制度。飲食料品製造業や工業製品製造業、介護、建設、自動車運送業、外食業など16の分野で外国人の就労が可能になった。特定技能1号は5年間の期間限定で、2号試験に合格すると、定住して家族を呼ぶこともできる。特定技能1号は現在、全国では約30万人、札幌市内では、2024年12月末現在で、1913人が働いている。
水田氏は、「外国人の採用に抵抗がある企業が多く、実際には採用はそれほど進んでいない」と言う。こうした抵抗感を持つ札幌市内の中小企業に、特定技能外国人の採用促進を図るのが、今回の事業。
特定技能外国人を採用するには、採用しようとする企業が、キャリアバンクのような登録支援機関と契約。その登録支援機関が相手国の送り出し機関を通じて、特定技能外国人の紹介を受け、その人材と採用したい企業とのマッチングを経て実際の採用となる。
採用が決まって以降の初期費用は、在留資格認定証明書交付や入国時対応、航空券手配など1人当たり約40万円が必要。今回は、札幌市が半額を負担するため、20万円で済む。また、採用後も定着支援として、月1回の定期面談や週2回の日本語教育のほか、日常的な相談対応、交流会開催なども行う。これらも通常月3万円だが、半額の1万5000円で行えるようにする。
対象企業は、札幌市内に本社または営業所などを有している中小企業で、これまでに特定技能制度による外国人を雇用したことがないことが条件。キャリアバンクでは、この事業と特定技能制度を周知するため、2025年6月23日(月)13時半から「特定技能外国人受入セミナー」を対面参加(定員80人)とオンライン参加で開催する。2026年3月31日までに入国が完了しなければならないため、採用企業とのマッチングは、2025年10月頃までに終える必要がある。現在、特定技能で一番多く入国しているのはインドネシアで、中国、ミャンマー、スリランカ、ベトナムが続く。
水田氏は、「2026年は、さらに人手不足が深刻になるのは確実で、ぜひ今からトライした方が良いでしょう。今まで考えていなかったという企業は、この機会に一人、二人の採用から始めてみてはいかがでしょう」と話している。