「北海道アントレプレナーシップアワード2013」に輝いた初音ミク・クリプトンの伊藤博之社長「セレンディピティ、知ってます?」

経済総合

 新日本有限責任監査法人とNPO法人札幌ビズカフェが事務局を務める北海道起業家アワード実行委員会の主催による「北海道アントレプレナーシップアワード2013」が27日、札幌市内のセンチュリーロイヤルホテルで開かれた。米国発で起業家を育てる世界的なイベント「アントレプレナーシップ・オブ・ザ・イヤー」日本大会に出場する北海道代表を選出するとともに、全国的なイベントである学生の起業を対象にした地域若者チャレンジ大賞参加に向けた北海道代表を選ぶもので、今回が初開催。起業家部門ではクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長、学生部門は「あるぼら」の高島幹代表がそれぞれ選ばれ表彰された。(写真左は宮田昌利実行委員長からトロフィーを授与された伊藤博之社長=左、写真右は地域若者チャレンジ大賞北海道大賞を受賞した「あるぼら」の高島幹代表)
 
「アントレプレナーシップ・オブ・ザ・イヤー」は、1986年から米国で始まり、今や毎年モナコで世界大会が開催されるなど起業家を表彰する世界的なイベントになっている。新しい価値観やサービス、商品を開発した企業を早いうちから応援して行こうという趣旨で、2001年日本でも新日本監査法人が日本の事務局を務めて開催されるようになった。
 
 北海道はこれまで参加していなかったが、札幌ビズカフェと新日本監査法人が協議し、北海道ニュービジネス協議会、札幌証券取引所、日本ベンチャーキャピタル、北海道ベンチャーキャピタルなどの後援を得て初開催。また、NPO法人ETICが事務局を務めソーシャルビジネスエコシステム創出プロジェクトが主催する地域若者チャレンジ大賞の北海道代表を選出するイベトンも盛り込み、「2つの起業支援イベントを合わせたアワードで、北海道から日本へ、世界へ伸びて行く企業をみんなで応援するイベントの始まり」(札幌ビズカフェ代表宮田昌利氏)と位置づけている。
 
 アントレプレナーシップ日本大会の北海道代表としてグランプリに選ばれたのはクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤社長。同社は「初音ミク」などキャラクターボーカルやバーチャルインスツルメントなど音に関するメタ・クリエーター(クリエイターためのクリエイター)の事業を展開している。
 
 伊藤社長は受賞スピーチで、「成功は確率だと言うが、私はその人の価値観が大きく影響していると思う。きっかけは同じでも価値観によって行動は人それぞれに違ってくる。価値観を問い続けると幸運は下りてくる。これを『セレンディピティ』と言います。ふとした偶然をきっかけに閃きを得て幸運を掴み取る能力のこと。成功とは価値観を問い続けられるかどうかの差だと思う」と述べ、「価値観とは社会を覆う意識が影響している。だから人口が多い国に必ずしも世界的な企業が多いわけではなく北欧やカナダなど人口が少なくても成功している世界的企業があるという訳。異質に寛容とか、チャレンジを応援する社会など、起業に適した価値観のある国や地域に世界的企業が生まれてくる土壌がある。北海道は異質なものを受け入れる社会であり、チャレンジにポジティブな雰囲気があるが、これは北海道の資産であり可能性ということができる。受賞で心が引き締まる。当社の価値を日本に世界に広げていきたい」と語った。
 
 また、地域若者チャレンジ大賞の北海道大賞には「あるぼら」が選出され表彰を受けた。あるぼらは、東日本大震災をきっかけに北大学生たちが企業した組織で、アルバイトで得た収入を被災地の復興などのボランティア活動に援助するもので、どんなことに役立ったのかまで見極めてフィードバックするのが特長。高島代表は、「自分たちが楽しむこと、誰の役に立ったかを明確にすること、募金ではなく働くことで寄付することの3つが基本。自分のために働くのではなく誰かのために働くことの喜びを今後も広げていきたい」とスピーチした。なお、最終審査まで残った農作物を通して生産者と消費者を繋ぐ活動をしている「きたベジ」は、準大賞に輝いた。

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