犬猫のおやつSIZUKA・山田りみ代表取締役インタビュー「ペットの喜びを飼い主さんにも共有してもらいたい」

経済総合

 
 ーー新工場は「SIZUKA+(プラス)」という名前にされました。

 山田 コロナ禍の時には、ペットを飼う人が多くなって、飼い主さんたちも在宅時間が長かったので、ペットたちのご飯やおやつに時間をかけていた人も多かったと思います。コロナが落ち着いてくると、忙しくなって、なかなかペットに手がかけられない毎日になってきたと思います。でも、飼い主さんたちは、安心できるものをあげたいと思っているはずです。そんな時に、「SIZUKA」のおやつだったら安心だからと、お役に立てればという想いです。飼い主さんたちに変わって、当社が心を込めて手作りしますというイメージを表す意味もあって、「+(プラス)」を付けました。

 ーー10年前に起業されていますが、それ以前にも起業の経験がありますか。

 山田 私は、北星短大を卒業して、札幌信用金庫(現、北海道信用金庫)に就職しました。当時は、結婚や出産をすると、信用金庫を退職するのが一般的でしたが、勤めていた支店では、初めて結婚して子どもを産んでも働き続けました。今では、当たり前のことですが、当時は風当たりがきつくて、支店長から、「なぜ、子どもを生んでまで働くのか」と面と向かって言われたこともありました。それでも、いずれは、女性初の支店長になるという思いも抱いていたほどです。でも結局、2番目の子どもを生むタイミングで、12年間の信用金庫勤めを辞めました。
 子どもがまだ小さかった頃には、子ども服の輸入会社を設立して販売していました。最初は、自分が買いたいと思う子ども服がなかったので、それなら輸入しようと思って、フランスから輸入することにしたのです。きっかけは、知り合いの人に、東京で子ども服の国際展示会があるから行ってみたらと言われたことです。その展示会で出会った人が、ヨーロッパから洋服を仕入れていたので、「私、北海道で子ども服の輸入販売をやろうと思っています」と言うと、「それじゃあ、業者を紹介しよう」とトントン拍子に進みました。右も左も分からないのに、とにかく動いて回るのが、私の得意技なのかもしれません。

 その後も、デリカテッセンのテイクアウト店を経営したり、母親目線で子どもと一緒におしゃれなお店で食事ができるというコンセプトで、札幌の円山にお店を開いたこともあります。動けば、必ず助けてくれる人が現れてくるのが不思議です。犬、猫のおやつも、全然、知らない世界でした。自分が犬を飼っていたので、飼い主さんの目線で、こういうものが欲しいなという気持ちがありましたが、やはり動くことから始めたら今に繋がりました。

 ーー今、ご自宅ではどんな犬を飼っていますか。

 山田 ドーベルマンを飼ってます。それに柴犬です。柴犬は、お客さまから預かっているのですが、365日中、350日ぐらいいるので、そのお客さまから愛犬扱いにしてもいい、と言われています。以前は、もっとたくさんの犬を飼っていましたが、この5年ぐらいのうちに4匹が亡くなったので、飼う頭数を減らしました。

 ーー年齢をお聞きしても良いですか。

 山田 1965年生まれで、2025年に還暦を迎えます。蛇年です。いつもそうなのですが、別に経営者になりたいわけではないのですが、気がついたらいつも経営をしています。とにかく、働くことがすごく好きで、経営者でなくても何でもいいんです、働ければそれでいいのです。多分、これからもずっと働いていると思います。

 ーー即、行動に結び付くのですね。多くの人は、「できるかな」「できないかな」と迷って、結局何もしない人が多い……。

 山田 私には、そういうことはないんです。とりあえず、ちょっと、ここを当たってみたらいいんじゃないとか。人に、「ちょっとやろうと思うんだけど」と言ったら、「だったら、こうじゃない」と言われて、「じゃあ、行ってみる」のようなパターンです。子どもの輸入服を手掛ける時などは、2人目を産んですぐでしたが、親に子どもを預けて、東京のホテルに泊まって展示会に行きました。今から考えたら、馬鹿だったなと思いますが、その当時は、やっちゃったんですよ。そのせいか、今でも子どもから、「ママは子育ては得意じゃないけど、仕事は得意だよね」と言われます(笑)。(終わり)

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