ーーショップや工場の特徴は。
山田 ショップでは、工場で作ったおやつを直売しているほか、限定商品も数多く揃えています。当社で使用しているおやつ用の鮭は、サーモンパーク千歳のインディアン水車で取れた鮭を仕入れて使っています。また、千歳にあるサケマス孵化場の鮭も仕入れています。地元の新鮮な鮭を使っていることも特徴の一つです。
ーーおやつの素材は、鮭やエゾシカ以外には、どんなものがありますか。
山田 当社が手掛けている素材で一番多いのは鮭で、次がエゾシカです。おやつのカテゴリーでは、この2つで7割を占めています。残りの3割は、トリやブタ、ウマの肉や野菜を使ったものですが、いずれも道産にこだわっています。
ーー先ほど愛犬に食べさせたいというお話がありましたが、あらためて会社設立の理念を聞かせてください。
山田 犬や猫に喜んでもらいたいという思いがありますが、犬や猫は自分から、これを食べたいとは言えません。ですから、飼い主さんが、喜んで犬や猫たちにも食べさせて、飼い主さんたちも満足をしてもらいたい。そういう、ものづくりをしたいと思っています。当社のスタッフたちは、犬や猫を飼っている人たちばかりです。やはり、おやつを作る作業ではありますが、ものづくりは気持ちが入らないと、きちんとしたものができ上がらないと思っています。
当社のような小さな所帯では、大量生産はできないので、本当にしっかりとしたものを作らないと、飼い主さんや犬、猫には響かない。だからこそ、丁寧なものづくりを心掛けています。それは、創業の頃から変わりません。飼い主さんや犬、猫が喜んでくれるものづくりのスタイルは変えたくないし、なるべく環境破壊をしないようなパッケージ素材にもこだわっています。
ーー手作りにこだわっていると。
山田 そうですね、自動化、機械化したオートメーションのような方法でおやつを作りたいという気持ちは、全くありません。保存料を添加して、長期保存ができるおやつを作っている大きい会社は、たくさんあります。そうではなく、いつまでもこのスタイルを貫きたい。以前の工場では、作っているところがガラス張りで、店舗から見えていましたが、新工場は、店舗から見ることができないので、いずれは、工場見学ツアーのようなこともしたいと考えています。できるだけ工場をオープンにして、飼い主さんに安心してもらえればと思っています。
ーー今後の商品開発の方向性は。
山田 新工場は、敷地が広いので、2025年の春夏に向けて、飼い主さんを対象にしたオリジナルのソフトクリームやコーヒーも提供したい。犬用の新商品としては、テイクアウト用のワンコ弁当のようなものを開発したいと考えています。敷地が広いので、シーズンになれば、キッチンカーに来てもらって、犬を飼っていない人たちにも楽しんでもらえるようなスポットにしたいですね。
ーーソフトクリームもコーヒーも、こだわりのものを提供するのですね。
山田 そうですね。オリジナルで無添加のコーヒー豆を使います。ソフトクリームは、これから開発していきますが、当社が手掛けるのなら無添加でいこうと決めています。まだ、何も手をつけていませんが、2025年のゴールデンウィークまでには、ぜひやりたいと思っているところです。
ーー会社名の「SIZUKA」は、愛犬の名前だと。
山田 既に亡くなっていますが、グレート・デンという大型犬でした。当社のロゴマークにもなっています。すごく大きくて、人間でいったら、100歳を超えるくらいまで生きていました。その子が好きだったおやつを、作りたいと。穏やかな子で、バンビぐらいの大きさがありました。「SIZUKA」にあやかって、みんなに当社のおやつを食べて長生きしてくれたらなと思っています。今の看板犬は「ふぅすけ」です。お客さまや従業員のアイドルのような存在で、当社のおやつを食べているので、20歳ぐらいまで生きてもらいたいと思っています。