「イオン札幌桑園ショッピングセンター」の横に、「エア・ウォーターの森」(札幌市中央区北8条西14丁目28-148)が、姿を見せてきた。「森」といっても本当の森ではなく、耐火集成材を使った木造の建築物で、北海道の地域課題の解決に繋がる新事業の創出や研究開発、情報発信を産官学で行う拠点施設のこと。2024年10月の竣工が予定されている。(写真は、外観が見えてきたガラス張り木造建築の「エア・ウォーターの森」)
JR桑園駅にほぼ直結している「イオン札幌桑園SC」の東側にある約1600坪(5190㎡)の土地は、10年ほど更地のままだった。以前は、エア・ウォーターグループの拠点が建っていたが、建物や煉瓦倉庫が解体されてからは、長い間遊休地だった。エア・ウォーター北海道(本社・札幌市中央区)は、その土地を利用して、昨年9月から「エア・ウォーターの森」の建設工事を始めている。
北海道は全国に先駆けて人口減少と高齢化が進み、経済縮小、公共サービスの維持困難など社会課題が山積み。一方で、広大な土地と豊かな自然環境があり、ポテンシャルは世界的にも注目されている。「エア・ウォーターの森」は、研究機関、大学、自治体、地元企業などが連携するオープンイノベーション推進の拠点として、クリーンエネルギーや農業、食品など新事業創出を目指すことにしている。また、エア・ウォーター北海道では、初の開発拠点とも位置付ける。「森」というネーミングの通り、建物の主要構造体に、竹中工務店(本社・大阪市中央区)の耐火集成材を構造体に採用した木造となる(一部鉄骨造)。その主要材には、北海道産カラマツを100%使用する。この耐火集成材は、石膏系材料などを用いて燃えどまり層をつくり、カラマツなど木材を現し(あらわし…木の梁や柱の表面を耐火被覆などで覆わないで用いること)で利用できる。
また、地下水を冷却用水やトイレ用水など設備システムに用いることなどによって、BELS(建築物省エネ法に基づき建築物の省エネ性能を表示する第三者認証制度の一つ)認証最高位となる「★★★★★(星5つ)」相当の環境性能を持たせる。建物は、4階建て、延べ床面積は約2558坪(8444㎡)、総工費は土地代を含まず約50億円。設計は竹中工務店北海道一級建築士事務所、監理は竹中工務店北海道監理一級建築士事務所、施工は竹中・岩田地崎・田中組建設共同企業体(札幌市中央区)。商業施設とマンションのイメージが強い桑園地区に、「エア・ウォーターの森」は、新たなテイストを街に吹き込むことになる。
※2024年8月15日記事一部訂正しました。エア・ウォーターの森の住所は、北8条西14丁目28-148でした。