北海道の若手経営者を官民で育てる「北海道経営未来塾」の経営実務講座が、2024年3月6日、札幌市中央区の「札幌パークホテル」1階テラスルームで行われた。経営実務家講座は、道内2銀行の持ち回りで行われており、2月16日の北洋銀行に続き、北海道銀行が主催して行われた。塾生や関係者約50人が聴講した。(写真は、経営実務講座で講演する道銀・兼間祐二頭取)
今回の経営実務講座のテーマは、「GX(グリーントランスフォーメーション)が創る北海道の価値と明るい未来」で、最初に道銀の兼間祐二頭取が講演。兼間氏はカーボンニュートラルに関して、「再生可能エネルギーの開発が加速度的に進んでおり、北海道は国内におけるカーボンニュートラル官民150兆円投資の30%を呼び込みことになるだろう」と述べた。そのうえで、「道内は太陽光、洋上風力、バイオマスに続いて地熱発電をもっと進めるべきだ。24時間安定的な発電ができるのが、地熱発電の特徴。蘭越の教訓を生かしてチャレンジしていくべきだ」と話した。さらに、「これまで北海道は、再エネ供給拠点だったが、ラピダスやデータセンターなど自前で使う先が揃い始める」と述べ、供給拠点から脱皮しつつある現状を紹介した。
(写真は、ほくほくフィナンシャルグループSX推進部・島田善朗部長)
続いて、ほくほくフィナンシャルグループSX(サスティナビリティ・トランスフォーメーション)推進部の島田善朗部長が登壇。東京証券取引所プライム市場では、企業の脱炭素情報の開示が必須になっている状況について説明、「スコープ3と呼ばれる製品製造時や輸送段階、消費段階でのC02排出量についても開示することが求められるようになった。来年度から自動車関連の上場企業は、スコープ3の削減を積極的に進めていくだろう」と話した。
(写真は、ほくほくフィナンシャルグループSX推進部・多賀公昭マネージャー)
その後、ほくほくフィナンシャルグループSX推進部の多賀公昭マネージャーが、「GXで議論されているどのテクノロジーが進むのかは不確実だが、目標を達成しても割高なエネルギーを前提として、日本の産業力を考えていかなければならない。作る、使う、捨てるというCO2排出サイクルについて、作る段階からの省エネ、使う段階でのリユース、捨てる段階での部品リサイクルなど、使用エネルギーを極小化する循環社会をつくり上げていく必要がある」と述べた。
(写真は、ほくほくフィナンシャルグループSX推進部・岡島奈美子GX推進グループ長)
最後に、ほくほくフィナンシャルグループSX推進部の岡島奈美子GX推進グループ長が「企業における気候変動対策」と題して講演。リスクと機会を詳細に説明して、ニトリホールディングスが取り込んでいるGXを例に挙げ、「ニトリは店舗を有する特性を生かした新しいリサイクルビジネスモデルを構築している」と語った。塾生に向けては、「低炭素社会に向けたリスクに対応することは大事だが、それだけではつまらない。リスクを成長エンジン、ビジネスチャンスと捉えて実践してほしい」と話していた。