北海道経営未来塾で西村康稔経産相が講演、「ラピダスのように仲間とイノベーション創出を」

経済総合

 北海道の若手経営者を育てる、官民連携の北海道経営未来塾(塾長・長内順一未来経営研究所社長)は2023年9月1日、北広島市芸術文化ホールで西村康稔経済産業大臣と道内若手経営者の懇談会を開催した。西村氏が、次世代半導体の量産化を進めるラピダス(本社・東京都千代田区)の起工式に出席するため千歳市を訪れたのを機に、同未来塾の特別講座PartⅡの講師として招かれた。(写真は、北海道経営未来塾で講演する西村康稔経済産業大臣)

 西村氏は冒頭、昨年凶弾に倒れた安倍元総理の官房副長官として仕えた際のエピソードを披露した後、日本の製造業やサービス業について触れ、「ものづくりにしても、もてなしにしても、日本は世界一のレベルだと思う。しかし、コロナやウクライナ侵攻、気候変動やデジダル化に直面、階段を一段一段上がっていくだけではなく、階段を飛ばして上っていくことが必要な時期になっている」と話した。

 政府は、こうした1段飛ばし、2談飛ばしで階段を駆け上がっていく経営者に、事業再構築補助金やものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金などを用意していると紹介、「これまで通りやるだけでは、新しい時代を乗り越えていけない。人手が足りないうえに物価上昇はしばらく続く。やがて金利も上がる。これらを乗り越えていくには、階段を1段飛ばす、2段飛ばすことが必要で、3段飛ばそうと思っている人は、仲間と一緒に挑戦したら良い」とハッパを掛けた。

 そのうえで、ラピダスに話を移し、「1社ではできないことに、トヨタやソニー、NEC、ソフトバンク、デンソー、NTTなど名だたる企業8社が出資をしてくれた。まさに一緒になって新しい半導体を作ろうと集まった。ヨーロッパの研究機関アイメックや世界最先端の露光装置を製造しているASLMと納入について一定のめどがつき、IBMとも組む。ラピダスだけで5兆円くらいの投資になるが、1社でできないことについて、仲間を見つけて一緒に進むことは大事な取り組みだと思う」と話した。

 ラピダスの5兆円の投資のうち、すでに国は3300億円の支援を決めているが、進捗状況によってさらに投資、支援を増やしていくことにしている。「熊本のTSMCの工場は、鹿島が建設している。鹿島は3年かかるところを3交代で1年半でやってくれる。ラピダスも鹿島にお願いしている」と述べたうえで、「時代は大きく変化して、新しい時代になる。ぜひ、いろんな面で階段を1段でも2段でも飛ばすような挑戦を、仲間と一緒にやってもらいたい。必要なことは、我々が全力で応援したい。北海道の未来、日本の未来を、若い皆さんたちの力で切り開いていただきたい」と結んだ。

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