街の蕎麦店が、閉店した蕎麦店跡に居抜き出店、地域の蕎麦ファンの需要に応えようとする動きが、札幌市白石区で始まる。1月23日(月)にオープン予定の蕎麦さとやま白石店「とわりのもり」(白石区菊水元町3条2丁目1-6)がそれ。(写真は、本店に当たる「蕎麦製粉所さとやま」)
「とわりのもり」を運営するのは、蕎麦店「蕎麦製粉所さとやま」(札幌市東区苗穂町10丁目3-15)を展開している蕎麦さとやま。同社は、2012年頃に蕎麦専門店をオープンさせた。玄蕎麦の脱皮から石臼を使った自家製粉、手打ちをすべて店内で行っており、田舎蕎麦を使った調味オイル系スパイスカレー南蛮「さとやま活火山」が名物。
蕎麦店は、後継者難の店舗も多く、閉店イコール廃業となって地域の蕎麦ファンが通える店が少なくなっているのが現状。製粉業界にとっても蕎麦店の減少は死活問題。こうした中、2022年夏に閉店したのが、札幌市白石区の「そば処羽田商店」。閉店を受け、製粉業界は店舗を利用して営業する蕎麦店を探したが、難航。その後、多くの人たちの推薦もあって蕎麦さとやまが手を挙げることになった。
昨年暮れから開業準備を行ってきたが、このほど1月23日にオープンすることが決まった。人手不足のため、本店の営業に支障が出ない範囲で営業する予定で、来店客が注文した商品の配膳は店舗従業員が行うが、お冷と蕎麦湯はセルフサービス、お膳を下げるのもお客が行うようにする。
本店では、道産蕎麦を使用する細切りの並粉(なみこ)、太切りの田舎ともに蕎麦粉8割の二八蕎麦を使用しているが、「とわりのもり」では十割の田舎蕎麦のみを使用する。ちなみに店名の「とわりのもり」は、十割蕎麦のもり蕎麦にかけて名付けられた。冷たい蕎麦はもり蕎麦とつけ蕎麦、温かい蕎麦はかけ蕎麦、肉類を使用した蕎麦などを用意する。通常営業は火曜日から木曜日の3日間、11時から14時ラストオーダーを予定。席数は22席(うち小上がり4席×2)。蕎麦さとやまでは、「地域の蕎麦ファンに応えるとともに、飲食インフラを守るお手伝いができれば」と話している。