富士薬品がTOBでオストジャパングループが5月にも札証アンビシャス上場廃止、「7→8→7」で待たれる新規上場

経済総合

 オストジャパングループ(本社・札幌市)が、配置薬の富士薬品(同・さたいま市)のTOB(株式公開買い付け)を受け入れ子会社になるため、5月にも札証アンビシャス市場は上場廃止となる。これによって、アンビシャス市場の上場は昨年の北の達人コーポレーションの上場で8社になったものの早くも元の7社に戻ってしまう。札証は、アンビシャス市場の上場基準を緩和し道内企業の上場促進を進めているが、オストの廃止で新規上場企業の早期登場が待たれる。(写真は、札幌証券取引所)
 

 オストジャパングループは、傘下にオストジャパン、オストケアサービス、ファーマコリサーチの3社を抱える純粋持ち株会社。子会社では調剤薬局や福祉施設の経営、不動産賃貸管理を主な事業にしている。年商50億円前後で推移しており、利益も順調に出しているものの調剤薬局事業は大手との競合が激しく先行きの拡大には困難が伴うとみて、昨年から交渉していた富士薬品との業務提携からさらに踏み込んで子会社になることを決めた。
 
 富士薬品は、配置薬のほかドラッグストア「セイムス」も展開、道内では「セイムス」を札幌市東区、北区、白石区、清田区に各1店、美唄市に1店の計5店舗展開している。
 
 TOBに当たり、既に33・53%の株を保有する第一位株主の村上睦社長と12・94%保有の第二位の村上博子氏(睦社長の配偶者)、さらに2・79%を保有する村上氏の親族と関係のあるエムワイケーは、TOBに合意しており、これら3者の持つ比率は49・24%に達する。
 
 村上夫妻の持つ株式は全株に北洋銀行の担保権が設定されているが、北洋銀との間で担保権解除の合意を得ている。
 
 富士薬品はTOB成立の下限をオストジャパングループが発行する株式の3分の2にあたる111万200株としており、大株主3者以外に19・16%を集めれば下限に達する。
 
 オストジャパングループの村上睦社長は、函館東高から東日本学園(現北海道医療大学)を卒業してエーザイに15年間勤務。もともとは、村上氏の父親が高校校長を退職して60歳を機に“団塊起業”を目指したため、睦氏の助言でその父親が91年に始めた調剤薬局がルーツ。当時、睦氏はエーザイに勤務していたが、97年に退職しその後社長に就任。札証アンビシャスには2007年9月に上場している。
 
札証の上場企業数は、本則市場単独9社、アンビシャス市場8社で重複上場は50社。昨年1年間で重複上場の日立製作所、住友金属、日本電気、シャープ、オエノンホールディングス、三井造船の6社が廃止となり本則単独上場のRHインシグノも廃止になっている。
 
 今後も、重複上場廃止の流れは止められず、今回のオストジャパングループのアンビシャス上場廃止は札証にとって大きな痛手。昨年は5月に北の達人コーポレーションが同市場に新規上場したが、今年も2~3社の新規上場を目指さなければ札証にとっては存続基盤が危うくなる事態にもなりかねない。

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