雪印メグミルク大樹工場新棟12月初旬本格稼働で「さけるチーズガーリック味」西日本展開、協同乳業へ20%出資で飲料デザート工場再編

経済総合

 雪印メグミルクは、2012年度内に「さけるチーズガーリック味」を西日本に販売展開していくとともに協同乳業グループへの資本参加によって飲料デザート部門の生産集約を加速する考えだ。15日、札幌証券取引所の個人投資家向け説明会で同社の世古康取締役専務執行役員が明らかにした。(写真は、札証で業績説明をする世古康取締役専務執行役員)
 

  同社のさけるチーズは、市場シェアトップの商品で、同社では『カテゴリーナンバーワン戦略商品』の一つとして重点的な設備投資の対象になっている。
 
 さけるチーズは、大樹工場(広尾郡大樹町)となかしべつ工場(標津郡中標津町)で生産しているが、能力増強を目的に進めていた大樹工場の新棟が完成、「12月初めから本格生産に入る」(世古氏)。2工場の生産量は明らかにしていないが、今回の新棟での本格操業によって生産能力は11年比で1・5倍になるという。大樹工場はプレーン、なかしべつ工場はプレーン、スモーク味、ガーリック味の3種類をそれぞれ生産、大樹工場の新棟でプレーンの生産能力が増強されるため、なかしべつ工場のプレーン生産ラインをガーリック味の生産に振り替える。
 
 ガーリック味は、これまで東日本エリアのみの販売だったが、これによって西日本エリアでも販売展開が可能になり、「年度内に西日本でガーリック味のさけるチーズを投入する」(世古氏)
 
 また、協同乳業との提携について5月の業務提携から、12年度中に同社株の20%を取得して資本提携に踏み込む考えを示した。業務提携から資本提携に進んだ理由について、世古氏は「協同乳業への生産委託で当社の乳酸菌配合ノウハウなど極秘の情報を提供しなければならず、業務提携だけでは対応できないため」としている。協同乳業は12年3月期で工場再編に伴う特別損失で18億円の当期赤字を計上しているが、債務超過ではなくメーンバンクも支援体制を構築していることから、救済を目的とした出資ではないことを強調、「今後、飲料デザートなどの部門でコストダウンと効率化に繋がる工場再編等の提携効果を上げていく」(世古氏)
 
 なお、2月に公表したよつ葉乳業との提携については、現在、練乳の製造を雪印メグミルクが受託している資本提携は考えていないことも明らかにした。
 
 説明会の後には会場から株主優待についての質問が出たが、世古氏は「配当性向20%以上を株主還元の基本方針にしており、株主優待については他社の動向を見ながら継続的に検討している」と述べるにとどめた。

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