狭い厨房を慌ただしく動く料理研究家の星澤幸子さん(71)。料理番組の手際の良さが、そのままこの厨房内でも繰り広げられていた。空知郡南富良野町字幾寅にある「道の駅南ふらの」に隣接して建設された商業施設。この中に設置されたフードコートの一つに、星澤さんが代表を務める幸コーポレーション(札幌市中央区)が、味噌汁とお結びなどを提供する「ほしざわや故郷店」を開いた。(写真は、「ほしざわや故郷店」で支度をする星澤幸子さん)
(写真は、4月29日にオープンした「ほしざわや故郷店」の店内)
残雪を戴(いただ)いた山々が望める「道の駅南ふらの」。その構内に建設された商業施設には4月27日、「モンベル南富良野店」がオープンした。施設の南側には5店舗ほどのフードコートも整備され、その中の一つに「ほしざわや故郷店」が店舗を構えた。南富良野は星澤さんの出身地。「故郷店」のネーミングには、故郷への恩返しという意味が込められている。オープン日の4月29日、星澤さんの姿が厨房の中にあった。黄色のエプロン姿で炊き上がったごはんを容器に移し替えたり、地元産豆腐を揚げたりと手を足を休める気配はない。店員5人と星澤さんは、それぞれの仕事に向き合いながらも歯車のように噛み合って、お客の注文をこなしていく。
「ほしざわや故郷店」は、料理研究を30年近く続けてきた星澤さんが辿り着いた一つの結論を体現した、言わばコンセプトショップのようなもの。日本食の良さを凝縮した味噌とお米を、北海道産にこだわって届けることを狙いとしている。大豆糀と米糀で作った味噌をブレンドした味噌汁や玄米に近い栄養分を残した三分つきの米を使ったお結び、北海道の郷土料理いももちの惣菜などを提供する。味噌汁には、揚げ出し豆腐とのりの味噌汁、温泉卵とほうれん草の味噌汁があり、お結びにはシカ肉の佃煮やそぼろ、梅鮭節、大豆味噌、人参味噌、山菜味噌、シイタケ昆布の種類がある。惣菜には、いももち以外にも揚げ豆腐、たまご焼きなどを用意する。お結び、味噌汁、漬物のセットメニューもある。価格はお結びが260円から、セットメニューは750円から。食材の多くは地元の南富良野産など富良野地域で採れたものを使っている。
(写真は、セットメニューの一例)
星澤さんは、「出身地に料理研究の集大成としてお店を出せたのはとてもうれしい。地元に健康と美味しさをお届けしてマチの活性化に役立ちたいですね」と話す。札幌に本拠を構える星澤さんだが、週末にはこのお店の店頭に立ち、多くの人と出会う機会をつくりたいと言う。オープンしたこの日は多くの人が訪れ、店内は混み合った。「いらっしゃいませ」、「ありがとうございます」、心地良い響きが店中に溢れた。営業時間は8時~16時、定休日は水曜日、年末年始、「道の駅南ふらの」定休日。
(写真は、「ほしざわや故郷店」の外観)
(写真は、「道の駅南ふらの」に隣接して整備された商業施設のフードコート)