紋別市で中心市街地の低迷と郊外の商業集積が進む二極化に拍車がかかっている。中心街の商店や食品スーパー、アミューズメント施設の閉店や撤退が進んでいるのに対して、郊外には市外の大手商業者の進出が相次いでいる。11月2日には、全国展開する牛丼チェーンの「すき家」が郊外にオーブン、紋別市内の買い物や飲食の需要はさらに郊外比重が高まりそう。(写真は、国道238号紋別バイパス沿いに出店する「すき家」)

 

 中心市街地の低迷を象徴的に表すのが、第三セクターが所有するオホーツク氷紋の駅の温浴施設「とっかりの湯」(とっかりとは、アイヌ語でアザラシの意味)の運営業者である東海商事(本社・旭川市)が来年4月末に撤退すること。東海商事は、施設が完成したときから運営してきたが来春で10年間の契約期間が満了することに伴って、撤退することを決めた。

 東海商事の林永守社長は、紋別出身で宮川良一市長とは同窓でJC仲間。同社は、旭川で温浴施設を建設するなど旭川シフトを強めていることから「とっかりの湯」から撤退することを決めた。

 
 市では新たな事業者の募集を始めているが、天然温泉ではないことや氷紋の駅自体の魅力が薄いことなど、来春以降の事業者が決まらなければ核施設が一時休止する可能性もある。

 
 一方、国道238号紋別バイパス沿いには商業集積がさらに進む。ホーマックや北雄ラッキーのシティもんべつ、ケーズデンキ、ダイソー、ツルハ、サッポロドラッグストアーなどに続いて昨年末にはヤマダ電機が出店。さらに11月2日には、全国牛丼チェーンのすき家が出店する。

 
 すき家は道内で40店を展開しているが、オホーツク沿岸では網走市に次ぐ出店。同市内には他に牛丼チェーンはなく、ドライブスルーも併設していることから市民の利用も進みそうだ。

 
 市では、こうした中心市街地の低迷と郊外の発展という二極化に対応するため、
中心市街地の再生を目指すビジョンづくりに取り組み始めた。同市は2000年の中心市街地活性化法の施行に伴って計画を策定していたが、この計画を踏襲しつつコンバクトシティ目指す地域のゾーニングを進めていくのがビジョンづくりの骨子。歓楽街のはまなす通周辺を昭和の香りが漂う地域資産として活用策を検討するなど、観光客をさらに呼び込むことも盛り込む。

 
 人口減と高齢化が他の自治体と同様に進む紋別市だが、買い物や飲食需要の郊外流出は避けられず、高齢者や買い物弱者、さらに観光客をエンジン役として中心市街地にどう人を呼び込むか、宮川市長のまちづくりへのリーダーシップが問われている。



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