札証が個人投資家向け会社説明会、日本テクノ・ラボ「監視カメラ映像ソフトで需要急伸」、伊藤忠商事「繊維・食料分野で強み」

経済総合

 札幌証券取引所は21日、札証上場企業の個人投資家向け会社説明会「札証IR」を開催した。アンビシャス市場の日本テクノ・ラボ(本社・東京都)と本則市場に重複上場している伊藤忠商事(同・大阪市)の担当者がそれぞれ45分ずつ財務状況や経営計画について説明、個人投資家約70人が集まった。(写真左は日本テクノ・ラボの加藤裕氏、右は伊藤忠商事の渡辺聡氏)

 

 日本テクノ・ラボは、松村泳成社長が外資系企業からスピンアウトして1989年に4人で設立したソフトウェア開発会社。キヤノンと共同で開発したプリンタコントローラ事業を手始めに、現在はプリンター制御ソフトウェアや情報セキュリティ関連ソフトウェア、監視カメラ映像集中管理ソフトウェア、ストレージ装置制御・管理ソフトウェア(データセンターなどの膨大なデータをDVDやブルーレイディスクに保存、管理、印刷するソフトウェア)の4本柱で事業を行っている。

 
 2007年に札証アンビシャス市場に上場し、前3月期の売上高は12億3300万円、経常利益は1億4100万円。従業員は39人。財務状況は良好で今期の総資産は13億円、そのうち純資産は9億円になる見込みで自己資本比率は高い。

 
 執行役員管理部長の加藤裕氏は、「薬のラベル印刷や車のシートベルト印刷、有機EL印刷などの産業用大型インクジエットプリンタ制御装置では毎分150mという世界最高速度を実現している。また、誰がいつどんな資料をどこのプリンタから印刷したのかを管理把握できるシステム(セキュアプリントシステム『SPSE』)は、情報管理が必要な商社などで採用されている」と説明。『SPSE』については、一般的にこうした社内プリントコストの30%削減が可能だが、「ある商社に採用された例では、この分野で80%のコスト削減になった実績がある」(加藤氏)。

 
 また、監視カメラ映像の集中管理システムは、羽田空港や成田空港で採用され、中でも成田空港は今後5年間かけて監視カメラを増やしていく計画のため同社のシステム受注のアップが確実に見込まれるという。そのほかにも、高速道路や火山観測用、福岡県の救急車車内でも利用されており、今後はメガソーラー施設の監視カメラ向けにも期待できそう。

 
 加藤氏は、同社の主力ユーザーとして三菱UFJ銀行、三菱UFJ証券、SMBC日興証券、スズキ、再春館製薬、NTTドコモ、日本放送、日大を挙げた。

 
 その後、伊藤忠商事の渡辺聡IR室長が90年代後半の厳しい経営状態から10年あまりで着実に財務体質が改善してきたことを紹介し、「資源エネルギーの分野では総合商社3位だが、繊維や食料、生活資材の分野ではナンバーワンの強みがある。繊維は総合商社の部門として扱っているのは当社のみで食料についても三菱商事と1位を争っている」と語った。

 
 札証では2ヵ月に1度のペースで札証上場企業の個人投資家向け説明会「札証IR」を実施しており、次回は11月15日に雪印メグミルクが予定されている。

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