小磯修二北大客員教授・道観光振興機構会長、SATOグループセミナーで「地方の論理」熱弁

経済総合

 キャリアバンク(本社・札幌市中央区)やエコミック(同・同)、SATO社会保険労務士法人などSATOグループは17日、北海道大学公共政策大学院客員教授で公益社団法人北海道観光振興機構会長の小磯修二氏(72)を講師に招いたオープンセミナーを開催した。(写真は、講演する小磯修二氏)

 小磯氏は、昨年11月に上梓した『地方の論理』(岩波新書)をベースに、大都市と地方の格差の実態、北海道と沖縄の開発の経緯などについて約90分間講演した。
 小磯氏は、日本の社会は東京を中心とした大都市の思考の仕組みが、地方(地域)にも広がっており、地方は思考停止の状態にあることが社会的な問題と指摘。また、首都圏に大学が集中していることに触れ、「東京都は全国の人口の10・6%(2015年国勢調査)だが、大学の数は全国の26%(16年)、私立大学は31・3%も集まっている。高等教育のこうした一極集中は、世界の先進国ではどこにもない。戦前は旧制高校が全国にバランスよく配置され、地方人材の育成が行われていた。なぜ、日本だけがこうなってしまったのか。高等教育を民間市場原理に委ねた結果、高等教育に効率性を求めるようになって大都市に集中するようになったからだ」と指摘した。

 北海道と沖縄の開発政策について話が及ぶと、「72年の沖縄返還後は、北海道の開発政策が導入されたが95年にそれが激変した。駐留米軍の婦女暴行事件をきっかけに当時の太田知事が米軍による用地強制使用の代理署名を拒否。以降、沖縄独自の特別政策が進み、自由度の高い一括交付金が認められて地域政策の一国二制度が沖縄で実現、北海道とは異なる独自政策が進んで行った」と話した上で、「北海道は地域開発の世界的なモデルだったが、そのことに対する地域の理解が十分だったのかどうか。むしろ東京のようになりたいという意識に染まってきて、独自の政策が生まれてこなくなったのではないか。地方の伝統に基づいた地域政策を進めることが地域経済の活性化に繋がる」と訴えていた。

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