家具インテリア製造小売りのニトリホールディングス(HD、札幌本社・札幌市北区、東京本社・東京都北区)とホームセンターのDCMホールディングス(本社・東京都品川区)による島忠(同・埼玉県さいたま市中央区)争奪戦になった。ニトリHDは、TOB(株式公開買い付け)で島忠株の過半数以上の獲得を29日発表、既に島忠の友好的TOBを進めていたDCMHDの待ったをかけた。(写真は、ニトリHD札幌本社が入っている「ニトリ麻生店」)
DCMHDと島忠はTOBで合意、10月5日から11月16日まで1株4200円でTOBを実施している。そうした中でニトリHDは、1株5500円で11月中旬をめどにTOBを開始する。ニトリHDが島忠との経営統合について具体的に検討を開始したのは、DCMHDが島忠を子会社化することが公表された今年9月18日から。
ニトリHDは島忠をグループ化することによってホームセンター業界の事業領域に新規参入できるほか、島忠にとってもニトリHDが培ってきた「製造物流IT小売り業」の経験・強みを活用でき、2社の企業価値を最大化させる可能性があるとしている。
ニトリHDは、DCMHDとの提案内容や経営指標の比較を29日に合わせて発表した。中でも経営指標では大きな違いがある。時価総額はニトリHD2兆4811億円、DCMHD2093億円、売上高は6423億円と4374億円、営業利益は1075億円と208億円、純利益は714億円と138億円、店舗数は607店舗と677店舗、会員数は約4000万人と約340万人。
また、ROE(自己資本利益率)は、13・5%と7・1%、ROA(総資産利益率)は11・0%と3・2%、予想PER(株価収益率)は28・7倍と10・1倍、PBR(株価総資産倍率)は4・0倍と0・9倍。なお、公開買い付け代理人はニトリHDが大和証券、DCMHDがSMBC日興証券。
ニトリHDとDCMホーマック(本社・札幌市厚別区)を中核とするDCMHDが証券市場でTOBによる争奪戦を展開することは、北海道出身企業が国内を代表する企業になっている証。かつては大同酸素(現エア・ウォーター)によるほくさんの買収など、本州企業による北海道企業の買収は当たり前のようにあった。それから30年超が経過し、道産子企業が本州企業M&Aをするどころか、M&Aで競い合うまでになったことは隔世の感がある。「ほくさん」の悪夢は、今は昔の話になった。