北海道の若手経営者を世界に通じる経営者に育成するのが目的の「北海道経営未来塾」の2020年度第4回会合が20日、札幌市中央区の札幌パークホテル1階テラスルームで行われた。第5期生37人を前に講演を行ったのは、ジャパンエレベーターサービスホールディングス(JESHD、本社・東京都中央区)の石田克史会長CEO(54)。石田氏は、『事業継続と創造』をテーマに約1時間話した。(写真は、講演するジャパンエレベーターサービスホールディングスの石田克史会長CEO)

 同社は、独立系のエレベーターメンテナンス会社で契約台数は現在約6万基。東京証券取引所1部上場、2020年3月期の連結売上高は約213億円。石田氏は、1966年3月生まれで、85年に独立系のエレベーターメンテナンス会社エスイーシー(本社・東京都台東区)入社、91年育英管財(同・同都新宿区)入社、92年同じく独立系エレベーターメンテナンスのペムス(同・同)に入社、94年にジャパンエレベーターサービスを設立した。

 石田氏の実父は小樽市出身で、石田氏本人も本籍は小樽市にあると言い、北海道との関わりを話した後、起業の理由についてこう語った。「19歳でエレベーターメンテナンスのエスイーシーに入社した。当時は10数人の会社で技術の一員として働き始めたが、入って2ヵ月目にこんなことがあった。私の父親は東京でビルメンテナンスの会社を経営していたが、関係先の影響で倒産してしまった。そんな時にエスイーシーの朝礼で当時のトップが『石田君の父親の会社が倒産した。放漫経営が原因だ』と言った。社員全員の前でそういうことを言われたので、『絶対に起業して大きくするぞ』と思った」
 創業の本当の理由は、そうした心の動きにあったことを明かし、「振り返ると、あの一言があったからこそ現在があるので、今はむしろ感謝している」と話した。
 
 創業の頃、石田氏本人もエレベーターの保守点検をし、それをやり終えると車の中でスーツに着替えて飛び込み営業を行い新規の顧客を獲得していった。
 当時、エレベーターメーカーとメーカー系列のメンテナンス会社は、JESを全く相手にしていなかったという。「メーカーや系列メンテナンス会社は、当社が大きくなることを全く予想していなかったと思う。そういう時がチャンス。小さな資本で会社を起こし、相手が気づいたら大きくなっていたというケースが一番良い。当社のような規模になると成長の機会がいくつも巡ってくる。今期は独立系のメンテ会社6社を買収した。小さく起こして継続することが何よりも大事だ」と訴えた。


40人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。