世界的スキーリゾートのニセコ地域にありそうでないものがある。それは、ファストフード店。「マクドナルド」も「ケンタッキーフライドチキン」も「スターバックスコーヒー」も「吉野家」もない。札幌圏ではごく当たり前の店舗がニセコには見当たらない。しかし、そんなファストフード店がニセコに建ち並ぶ日もそう遠くないかもしれない。(写真は、倶知安町のひらふ坂周辺)
食品スーパーやドラッグストア、コンビニが並ぶのは、後志管内倶知安町の中心部の国道5号線沿いやリゾート中心地ひふら地区。ここには、札幌や旭川、函館、苫小牧、釧路、帯広、江別、北見など人口が多い街では当たり前にあるファストフード店がない。現在、倶知安のホテルやコンドミニアムのベッド数は約1万。冬になると人口約1万5000人の街は倍以上になるのに、ファストフード店が並ばないのは、食材輸送の2時間ルールなるものがあってそれが壁になっているという。
倶知安町のホームページを見ると札幌から倶知安までの距離は、喜茂別経由で91・7㎞、所要時間は約130分。小樽回りで余市まで開通している後志自動車道を使えば、もう少し所要時間は短くなるが2時間ぎりぎりといったところ。
そんな未進出地域に、ファストフード店が建ち並ぶ日が刻々と近づいているという。それは後志自動車道の倶知安延伸。2030年度のことだが、ファストフード業界では既に進出の計画を練っているところもあるという。地元関係者によると、「後志自動車道の倶知安延伸で大きな変化が起こると予想されています。観光面では駅前の開発が一気に進み、物流面では2時間ルールがクリアできるようになりファストフード店の出店意欲が高まるでしょう」と言う。ただ、国道5号線沿いやひらふ地区にはまとまった土地がないため、悩ましいところ。
30年度には北海道新幹線倶知安駅開業やアルペン会場として北海道・札幌冬季五輪の開催も予定されており、倶知安の注目度はますます高まる。そんな地域をファストフード業界が放っておくはずがない。