札幌ススキノの南7条西4丁目と5丁目に対峙するように並んでいる奇抜な建物。異界へ誘う門のような異色な建物は、「キングムー」と「美食カラオケ空間 エルカーサ」だ。そのうち「エルカーサ」の運営会社が破綻したため、建物の行方に関心が高まっている。(写真は、「美食カラオケ空間 エルカーサ」が入っていたビル。左の「キングムー」とともに奇抜な建物として知られる)
「美食カラオケ空間 エルカーサ」は、2007年からこの建物を使ってスカイグラウンド(札幌市中央区)が運営してきた。大人数を収容できる個室があり、料理も高級志向として知られていた。しかし、コロナ禍による影響で4月30日にスカイグラウンドは札幌地裁に自己破産申請。申し立て時の負債額は約2500万円だった。同地裁は5月25日に同社の破産手続の開始を決定、破産管財人に札幌フロンティア法律事務所の後藤雄則弁護士が選任されている。
最近になって、「エルカーサ」の隣接地にある「ホテルアネックス」の屋根付き駐車場だった場所で解体工事が始まった。屋根の鉄骨などが除去されて更地化に向けて工事が進んでいる。「エルカーサ」の建物は破産管財人が占有管理しているため無傷で残っているが、すぐ隣の敷地で工事が行われているため「エルカーサ」にも何らかの動きがありそう。
登記簿によると、土地所有者はすすきのプラザ(札幌市中央区)で建物には共同担保が設定されている。土地には北洋銀行による約2億円の根抵当権が設定されている。スカイグラウンドとは大家と店子の関係のようだ。ともあれ、「エルカーサ」の建物は、バブル期の1992年頃に建設され、向き合う「キングムー」と同時期に登場している。ちなみに当時、二つの建物を建てたのは同じ企業だった。バブルの遺産は、残るか。