新型コロナウイルスの感染拡大による売り上げ減少で資金難に陥っている、企業の一つの救済策とも言えるスキームが実行される。札幌証券取引所アンビシャス市場に上場しているエコノス(本社・札幌市白石区)の発行済み新株予約権の半分強を東京証券取引所1部・札証上場、北の達人コーポレーションの木下勝寿社長が個人で取得。木下氏は同予約権を行使、エコノスには約2億円のニューマネーが入るというスキーム。(写真は、北の達人コーポレーション・木下勝寿社長)

 エコノスの2020年3月期は、昨年10月の消費増税による消費の落ち込みに加え、新型コロナウイルスの影響による外出自粛で売り上げが減少、営業赤字に転落した。また、一部店舗の減損損失なども行ったため1億5100万円の純損失となった。

 こうした中、手元資金の確保と自己資本の強化が急務となったため、エコノスが昨年12月に発行していた新株予約権の半分強を木下氏が取得することになった。新株予約権を保有していたのはマイルストーン・キャピタル・マネジメント、ストライダーズ、Jiraiwat Wongsomsri氏、古知屋信明氏、ハードオフコーポレーションで、そのうちハードオフコーポレーションを除く4者が同予約権の多くを木下氏に譲渡した。
 新株予約権の発行数は、57万6000個だったが、木下氏はそのうちの64%、37万1000個を取得した。譲渡価格は非公表。木下氏は、6月末までに新株予約権を全て行使する予定で、エコノスには増資分として約2億円のニューマネーが入ることになる。

 今回、こうした新株予約権の譲渡と行使によるニューマネー確保が可能になったのは、エコノスの長谷川勝也社長と北の達人コーポレーションの木下社長が友人関係にあったため。木下氏の申し出に新株予約権を保有していた4者も了承、今回のスキームが実現した。
 木下氏は、「新型コロナの影響を受けた企業を支援する意図で新株予約権を取得して増資を引き受けた。私自身が経営に直接関与する予定はなく、引き続き現経営陣による経営を応援する」と話している。なお、新株予約権の行使によって木下氏の持ち株比率は29・1%となり筆頭株主になる。長谷川社長の持ち株比率18・2%。
※2020年5月21日記事一部修正しました。木下氏の持ち株比率は29・1%となり長谷川社長の18・2%を上回り筆頭株主になります。


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