北海道電力と北洋銀行のトップ人事に伴って、道内経済4団体のトップをいずれも出身母体企業の相談役が務めることになった。4団体トップがオール相談役ということはこれまでになく、道内経済界の人材不足や後継者難を経済団体が図らずも示すことになる。(写真は、道経連会長の続投が濃厚の近藤龍夫会長)
道内の経済4団体は、北海道経済連合会(道経連)、札幌商工会議所(札商)、北海道経営者協会(道経協)、北海道経済同友会(道同友会)。道経連会長は近藤龍夫氏、札商会頭は高向巖氏、道経協は前泉洋三氏、道同友会の代表幹事は坂本眞一氏と吉野次郎氏がそれぞれ務めている。
このうち近藤会長は北海道電力会長、高向会頭は北洋銀行会長だったが、北電が3月29日付人事でトップ交代を行ったため近藤氏は取締役相談役に退いた。また、北洋銀行も4月1日付で石井純二副頭取が頭取に、横内龍三頭取が会長に、高向巖会長が相談役に退くことになった。
道経協の前泉氏は北海道ガス相談役、道同友会の坂本氏はJR北海道相談役、吉野氏は北洋銀顧問のため、これで4団体トップのすべてが相談役か顧問ということになった。
一般的に言えば、有力企業の会長は対外的な経済活動を担い、社長や頭取が社内業務や業界役職を担う色分けがある。経済団体トップがいずれも相談役か顧問というケースは全国的にも珍しい。
道内経済4団体トップの任期は2年間で、改選期は6月(札商は任期3年、改選は11月)。道経連会長ポストは今年が改選期にあたるが、国際戦略総合特区フードコンプレックス指定に尽力した近藤氏の3期目がほぼ確実。道同友会代表幹事2人のうち坂本氏の続投が濃厚で吉野氏は北洋銀会長に就いた横内氏に交代する見通し。道経協の前泉会長は続投で札商会頭の高向氏は来年11月まで任期がある。この結果、道内4団体5トップのうちで4人が相談役、1人が会長という体制になる。
道内経済団体は、北海道経済の舵取り役を担って、中央の政官界への陳情・提案などを行うことが多い。トップがオール相談役に近い体制は、道内経済界の世代交代が進んでいないことを中央にも示すことになりそうだ。