北海道ガス(本社・札幌市東区)は18日、北ガス顧問で一般財団法人日本総合研究所会長の寺島実郎氏を講師に迎えた基調講演と、特別ゲストを招いたパネルディスカッションの2部構成による北ガスフォーラムを札幌市中央区の札幌グランドホテルで開催した。市民ら約300人が参加、熱心に聴講した。(写真は、講演する寺島実郎氏)
寺島氏は、『世界の構造変化と日本、北海道の進路』をテーマに講演。蝦夷地といわれた1800年代、ペリー来航よりも50年も早い段階でロシアのラクスマンが根室に来航、それを受け幕府が幕臣集団の八王子千人同心100人を勇払と白糠に入植させ、ロシアのアジアへの野心に対抗しようと動いていたことを紹介、「世界史の大きなうねりが北海道のDNAには埋め込まれている。私は北海道というのは地名ではなく日本の中の思想、コンセプトを示していると思う」と述べた。
寺島氏は、世界のGDPシェアを引き合いに出し、「1988年のGDPシェアは日本16%、アジア6%だったが、2018年は日本6%、アジア23%。平成の30年間で日本のシェアが大きく変わった。特にこの10年間は日本に埋没感が出ている。埋没していることに対する正しい認識を持ち、知恵と汗でどう日本の進路を取っていくかを考えなければならない」と話した。
その上で必要なことは、アジアのダイナミズムとともに日本を躍動させていく視点とデジタル・エコノミーとどう向き合うかということ。「1人あたりGDPが1万5000ドルを超えると観光は、団体ツアーから個人、ファミリーに変わる。北海道のインバウンドもそういう方向に変化しつつありそれを迎える付加価値の高い観光を目指していくべき。また、大中華圏の日本海物流によって苫小牧港は追い風の中にある。後背地である日本最大の産業地域『苫東』と石狩ー札幌ー苫小牧の道央ベルト地帯とともにどう活力を持たせていくかが北海道のサバイバルファクターになる」と強調した。
データ・エコノミーに関しては岐阜県関市の東海理研の事例を紹介、「鉄工所がIoTやビッグデータと向き合い、高度な宅配ボックスなどを開発している。マチの鉄工所が一歩踏み出すと業態が大きく変わる。この会社は北海道に大いに参考になるだろう」と紹介していた。(※特別ゲストによるパネルディスカッションの内容は後日掲載します)