北海道ドローン協会が石狩郡当別町にドローンの専用練習場を整備したのをきっかけに2017年4月、経済部商工課内に「ドローン係」を新設した当別町。その当別町がこのほど自律型無人航空機とクラウドサービスを組み合わせた産業用ソリューションを提供するエアロセンス(本社・東京都文京区)と共同で、ドローンによる緊急医療用品搬送の実証実験を行った。
(医療大⑤・離陸①)MAH00237(写真と動画は、ドローンを使った緊急医療用品搬送の実証実験=当別町提供)
この実証実験は、経済産業省北海道経済産業局が仲介役となって実現した官民共同による初の試み。大規模災害によって道路が寸断され、現地にはけが人がいることを想定。町内にある北海道医療大学から同町北部の当別川河川敷までの往復約20㎞を飛行させた。
エアロセンス製のドローン「ASーMC03ーT(BOX)」を使用、往路は道医療大提供による救急医療用品とセコマ提供による軽食の計1㎏を積載。復路では現地の状況を撮影したスマートフォンを積載し、到着後にその映像を元に町長が災害時対応を指示するというもの。
飛行ルートは、町北部に広がる山林の上空70mの高さで、ソフトバンクのLTE回線を使いGPSで電波を拾いながら自律飛行させた。実証実験は10月3日に実施、道経産局や町、エアロセンスの3者は実験結果を分析してドローン利用の可能性を検討していく。
町ではドローンの操縦資格である「DJIスペシャリスト」を保有している職員が現在5人いるが、今年度は新たに3人が挑戦、8人の資格者にするという。ドローンの農業や林業、観光への活用のほかこうした災害時対応の利用について町は民間と共同しながらノウハウを蓄積、地域振興に生かしていく。