石狩郡当別町当別太の国道337号線沿いにある「北欧の風 道の駅とうべつ」の隣接地に、観光いちご農園の建設が進んでいる。12月にはプレオープン、来年3月から一般客を受け入れて道の駅とセットにした観光集積をアピールする。(写真は、「北欧の風 道の駅とうべつ」と隣接地に建設された観光いちご農園のハウス3棟=当別町提供)
観光いちご農園を建設しているのは、環境エネルギー等の設備系電気事業を全国展開している加茂川啓明電機(本社・大阪府吹田市)。農業、畜産分野のハウス・畜舎の空調などアグリビジネスも手掛けており、これらの技術を利用して観光農園に取り組むことにした。同社の前身の一つ、京都航空電機製作所は1946年に札幌出張所を開設するなど早くから北海道に足場を築き、現在も北海道支店(札幌市白石区)を開設して道内展開を行っている。
観光農園設置に際して、当初は後志地区を候補にしていたが、当別町の指定金融機関である北海道銀行(本店・札幌市中央区)の紹介で「道の駅とうべつ」の隣接地に決定した経緯がある。町は企業立地優遇制度を適用、固定資産税減免や用地取得補助を実施、誘致に繋げた。
加茂川啓明電機は、農業法人「かもけいアグリ」を設立して約1・85ha(1万8464㎡)の農地を取得、いちご観光農園で実績のある一苺一笑(いちごいちえ、宮城県亘理郡山元町)の技術指導や町内農業者の協力を受ける体制も整えた。「かもけいアグリ」は、町内の空き店舗に事務所を設け、加茂川啓明電機も当別出張所を開設した。
既にホッコウ(本社・札幌市中央区)の農業用ハウス3棟(1棟は縦15m×横50m、750㎡)を設置、温度や湿度、液肥、LED照明などを管理する環境制御システムも導入した。栽培するいちごは、「よつぼし」で道内でも旭川などで栽培されている。総事業費は約1億2000万円。
観光いちご農園は12月下旬にプレオープンし、来年1~2月は苗を休眠させ3月に正式オープン、8月ころまで営業する。集客状況を見て将来的にはハウス増設を検討するほか、障害者雇用など「農福連携」や当別高校との連携も視野に入れる。
当別町は、コメやカボチャ、花きなどの産地だが、かつては「太美いちご」、「茂平沢いちご」といったブランドもあるいちご産地だった。しかし、後継者不足などによって現在は衰退、少量の生産にとどまっている。町では今回の観光農園がいちごブランドの再興のきっかけになることを期待している。