ファイバーゲートが札証に重複上場、猪又社長「故郷に帰ってきたシャケの気分。でも“ほっちゃれ”にはならん」

経済総合

 証券会員制法人札幌証券取引所は24日、同日付で札証本則市場に新規上場したファイバーゲート(本社・札幌市中央区)に、有価証券上場通知書を交付した。同社は、2018年3月23日に東京証券取引所マザーズ市場、19年6月14日に東証1部に市場変更しており、札証には重複上場。他市場に上場している企業が札証に重複上場するのは、12年3月14日にジャスダック市場に上場しているダイイチ(同・帯広市)以来、7年ぶり。これで札証本則とアンビシャスを合わせた上場会社は59社(うち単独は17社)になった。(写真は、札証への有価証券上場通知書の交付式。左から札証・小池善明理事長、ファイバーゲート・猪又將哲社長)

 ファイバーゲートは、2000年9月に国内・国際電話サービスの加入取次「ハローライン二十一」として仙台市内で設立され、03年11月に猪又將哲(まさのり)氏(54)が全株式を取得して社長に就任。ファイバーゲートに社名変更、本社を札幌市中央区に移した。

 WiーFiのパイオニア的存在で市場をつくりながら業績を向上させてきた。現在は、通信系キャリア以外の独立系WiーFiソリューション企業として全国展開している。主力はマンション、アパート向け全戸一括インターネット接続サービスを提供する「レジデンスWiーFi」で観光地、商業施設向けの「フリーWiーFi」も手掛ける。通信機器の開発・製造からサービス提供、サポート体制まで一貫して取り組んでおり、競合大手との差別化で業績を拡大している。

 有価証券上場通知書の交付式で、札証の小池善明理事長は、「WiーFiサービスはインバウンド観光客の増加やオリンピックなど、国際的なスポーツイベントが続くことで北海道でもマーケットの拡大が見込まれる。札証へのUターン上場を機に地元北海道での知名度を高め、顧客開拓と共に道内株主を拡大していただきたい」と話した。

 ファイバーゲートの猪又社長は、「札証上場は私の長年の目標だった。東証マザーズ、東証1部上場を先行させたのは東証の動きを知った上で札証に上場することが貢献になると考えていたから。このマチで生まれ、育ててもらった企業なので恩返しをしたいと強く思っていた。道内株主を増やし北海道経済の活性化に貢献したい」と述べた。さらに、「今は故郷に戻ってきたシャケのような気分。だけど私は“ほっちゃれ”にはなりませんよ。地元の活性化に貢献し続けたい」とユーモアも滲ませた。
 同社の19年6月期は売上高54億円、経常利益8億5300万円。21年6月期は売上高70億円、経常利益13億円を想定している。
(写真は、上場を記念して札証の鐘を打つ猪又社長)

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