北海道経営未来塾で横山清社長「アークスは株式会社と協同組合を足して2で割った組織体」

経済総合

 北海道の若手経営者を育成する「北海道経営未来塾」(塾長・長内順一未来経営研究所社長)の第4期第1回の公開講座が26日、札幌市中央区のニューオータニインで開催された。講師は横山清アークス社長で塾生35人と一般参加の約130人が『こころの知能指数』と題した講演に耳を傾けた。(写真は、北海道経営未来塾公開講座で講演する横山清アークス社長)

 横山氏は、まず出自と経歴について触れた。横山氏は芦別で鍛冶屋(鉄工所)の長男として生まれ、芦別高校に工業科が新設された時の1期生として入学。卒業後は地元の明治鉱業上芦別工業所に就職し、2年間勤めた後に北海道大学水産学部に入学。卒業後は海産物商社の野原産業に入社。野原産業は養豚業に進出したものの豚の出荷先に困り、1961年11月に始めたのが勃興し始めていたセルフサービスのスーパー(当時の社名はダイマルスーパー)だった。

 1年間の期限付きでそのスーパーに出向した横山氏だったが、出向元に戻ることなく現在で58年。1店舗で始まったスーパーは合併や買収、提携を繰り広げ2018年度で年商5019億円、総店舗数335店舗のスーパー業界全国3位のアークスグループを形成するに至っている。

 平成元年に衣料を中心とした地場デパート、金市舘と合併したことに言及、「当時は私たちのスーパー事業は150億円、金市舘は200億円。小が大を呑むと話題になった。その後、道内各地の金市舘の店舗は採算悪化で閉鎖した。出店することは大事だが閉めることも大事なことだ」と話した。

 2002年11月のアークスグループ結成や昨年末に中京地区の1社、中国・九州地区の1社と資本・業務提携したことを説明。3社合わせると1兆円を超えるスーパー連合になったが、「アークスだけでも6~7年先には年商1兆円を目指す」と強調した。

 今後のグループ拡大について、「年商500億円規模の一族経営の地方有力スーパーが、一番悩みは多い。創業者は亡くなり経営はその子どもたちが行っているが創業者の夫人で子どもたちの母親が力を持っており、大手グループ入りに難色を示すことが多い。アークスグループ入りを検討しているスーパーは二ケタに近いが、大株主が母親というところが3件あってまさに現在進行形」と話した。

 また、塾生の質問に答える形で「アークスグループは、株主会社と協同組合を足して2で割ったような組織体だ。経営陣を縦糸、労働組合を横糸とすれば、縦糸と横糸が織りなすのが経営。それが経営向上の要素」と訴えていた。

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