洋菓子の「Mrs.NewYork」、和菓子の「七福札幌本店」、焼きはまぐりの「ダイニング桑名」ーー札幌で有名3ブランドを展開する七福(本社・札幌市白石区)が、事業を停止した。突然死とも言える事業停止に消費者の間には戸惑いが広がっている。

(写真は、上から「Mrs.NewYork本店」、「七福札幌本店白石店」、「ダイニング桑名南1条店」=いずれも2019年6月11日午後撮影)

 七福が事業停止したのは、10日。翌11日現在、食品スーパー「ダイイチ白石神社前店」(白石区)内の「七福札幌本店白石店」と「Mrs.NewYork本店」の売り場にはカーテンが掛けられ『閉店のお知らせ』が掲げられているほか、焼きはまぐりで有名な「ダイニング桑名南1条店」(中央区)にも『閉店のお知らせ』が入り口に貼られている。 
 一方、豊平区月寒東5条6丁目の東北通沿いにある「Mrs.NewYork」本店入り口前には、6月の定休日のお知らせが掲げられているだけで、本店の横にある本社玄関前には、『事業停止のお知らせ』が貼られていた。

 帝国データバンク札幌支店によると、七福は1997年設立の和菓子製造販売会社。2008年に「Mrs.NewYork」を運営するマンハッタンブレスと合併した。「Mrs.NewYork」の前身は洋菓子製造販売の「アルポルト」。アルポルトの経営が傾き、マンハッタンブレスが事業を承継、その後、七福と合併した流れ。

 ピーク時の2011年7月期は5億8400万円を計上していたが、店舗のスクラップ&ビルドを頻繁に行っていたため出店費用がかさんでいたことや原材料価格の上昇、競争激化による販売不振などによって一時は事業継続も難しい状況になっていた。
 
 その後、北海道中小企業再生支援協議会を通じて北洋銀行、北海道銀行などの借入金の返済条件緩和、いわゆるリスケジーュリング案件となっていたが、売上高は回復せず18年7月期は約4億5000万円、今期も改善せず事業継続の見通しが立たなくなったことから事業停止、10日に債務整理を弁護士に一任した。なお、従業員約50人は、一部を除き9日付で解雇された。

 負債額は18年7月期で約3億6000万円。債務整理を担当する弁護士は、「自己破産か、任意整理かは現在検討中。事業停止の理由は本業不振によるもの」と話している。

 七福の事業停止は、少子高齢化や生活スタイルの変化、コンビニエンスストアのスイーツ台頭などによって菓子業界が厳しい環境にあることを示した。また返済条件緩和企業でも予定通り業績が回復せず再建が進まないことも示した。08年のリーマンショック後に始まった金融円滑化法に基づく返済条件緩和は、多くの中小企業を救ったが、七福の事業停止は延命企業が突然死するリスクがあることを示している。


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