作業服を着てヘルメットを被り醸造家になった気分で仕込み室に入るーーそんなレアな体験ができる「キリン一番搾りEP(エクスペリエンス)」ツアーが、キリンビール北海道千歳工場(千歳市上長都)で4月21日(日)から始まる。(仕込釜の上部から麦がもろみになっていく工程を見ることができる=写真)

 EPツアーの本格開始を前にメディア向けの先行開催に参加した。工場正門の左手にある見学ツアー事務棟2階のホール。ここでまず、EPツアー専用の真新しい作業ジャケットに着替える。袖に腕を通すと工場職員の一員になったように気が引き締まる。

 最初の講座は、「一番搾りの開発秘話」の紹介。1980年代、キリンはラガー以外の様々なビールを開発していたが、どれも大きく成長しなかった。ラガーと肩を並べる大型商品の開発は急務で、30代前半の開発チームにそれが託された。1人100案以上のアイデアを出し喧々諤々の議論を経て、ビールの美味しさを表す「芳醇」「爽快」「純粋」の言葉の中から、日本人が好む「純粋」にターゲットを絞った。もろみになった麦を搾って最初にて出てくる一番搾りの麦汁を使えば「純粋」なビールができるのではないかーーチームの目標は決まった。しかし、この製法はコスト的に常識外れとされ、開発には困難が伴ったが、チームはそれらを克服して1990年3月、遂に「一番搾り生」が完成する。

(写真は、一番搾り製法の実験)

 そんな開発物語を聴いた後には、ビーカーや濾紙を使って一番搾り製法の簡単な実験が行われる。濾紙に麦のもろみを詰めて温水を掛けるとポタポタと麦汁が滴り落ちてくる。ビーカーに溜まった一番搾りの麦汁を視覚と香りで体験できるような趣向になっている。

 その後は、いよいよ仕込み工程の見学。ヘルメットを被り、専用バスで工場内を移動、製造棟に入って2階に上がる。靴に専用ネットを付けてから仕込み室に入るとむっとするような暑さ。冬場でも29℃近くあり、夏場になると40℃近くにもなるという。麦を70℃で煮込み、もろみになっていく様子を仕込釜の小窓から覗く。ほのかに麦の匂いが漂い、もろみの白っぽい表面が見えた。釜は、直径3m、高さ6mで6基あり、常時2人体制でモニターを監視、3交代、24時間体制で365日間稼働している。

 再び事務棟2階に戻り、テイスティング方法の紹介を受けながら「一番搾り」シリーズ3種類350ml缶を飲むことができる。それぞれのビールに合った食のマリアージュも用意されており、最後は工場直送の「一番搾り」樽生で締め括る。

 仕込み室を案内してくれた渥美圭亮製造担当部長は、「仕込み室に入ることができるのは、他社を含めてもこのツアーしかありません。こういうところでつくっているということを、お客さまに実感してもらいたいですね」と話していた。

(写真は、飲み比べ用の3種類の「キリン一番搾り」シリーズとそれに合う食とのマリアージュ3品)

 EPツアーの所要時間は約100分、定員は20人で先着順。4月21日以降は不定期開催。参加費は1000円(税込)。お土産には、「キリン一番搾りEP」限定のトートバッグ、食とのマリアージュで使用するカッティングボードが用意されており、家庭での宅飲みでも使えるように配慮されている。
 
 本州の取手工場(茨城県取手市)、名古屋工場(愛知県清須市)、岡山工場(岡山県岡山市)の3工場でもEPツアーが開催されており、北海道千歳工場は4工場目。これまでの無料の工場見学より「一番搾り」をより深く知ることができるワンランク上のツアーと言えそうだ。
 申し込みは、キリンビール北海道千歳工場の工場見学ホームページhttps://www.kirin.co.jp/entertainment/factory/chitose/


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