「つぼ八」の大株主は、イトマンから住金物産に変わったが、やがて鉄鋼再編の波を受けて2012年に住友金属と新日本製鉄が合併、新日鐵住金が誕生。13年には住金物産が新日鉄系の専門商社、日鐵商事と合併、日鉄住金物産になる。大株主は、経済変動のたびに変わっていったが、過去を遡れば札幌から東京に進出する際に組んだイトマンの流れを汲む大株主であることには変わりがなかった。

 それが45年目にして初めて変わる。日鉄住金物産の持ち株97・8%のうち、「やまや・チムニーグループ」が87・8%を11月30日に取得することが決まったからだ。やまやは、全国330店舗の酒販専門店を展開、チムニー(やまやが51%出資する連結子会社)は、「はなの舞」、「さかなや道場」など居酒屋を中心に全国747店舗を展開している。

「つぼ八」の店舗数と合体すると988店舗になり国内トップ級の居酒屋チェーンになる。また、「はなの舞」などの店舗は関東圏に多く、「つぼ八」は北海道の100店舗をはじめ地方に多いため地域の補完関係も期待できる。紆余曲折を経てきた「つぼ八」は、ようやく飲食事業会社が大株主になる。創業から45年、新たなスタート台に立つ。

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